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父上がマッチョすぎる!!~銀河英雄伝説 Die Neue These (38)感想

※めちゃくちゃ銀英伝初心者です

 まだ出てこないラインハルトの息子(アレクサンデル君というらしい)がめちゃくちゃ可哀想な回だった。心底同情する……。まだ影形もないのに!!! いや、いまヒルダのお腹のなかにいますよと言われてもそんなに驚かないのだけど……

 反面、まだ出てこないラインハルトの息子(アレクサンデル君というらしい)とルパートが対比された回でもあったかなと思った。

父上がマッチョすぎる……

 酒くず街道まっしぐら(ミュラー敗走の報告を聞いたとき、自分の執務室で堂々と酒を飲んでいた跡がある+ヒルダと恒例のご飯タイムのときにも酒をグビグビ飲んでいる)のラインハルト。そんなラインハルトにとってヒルダが唯一の話し相手になっている。彼女とのおしゃべりが、ラインハルトが崩壊しないでいる原因のひとつかもしれない。

 ヒルダによるラインハルトへの栄養補給タイム(おそらく)のメニューがちょっと楽しみになっている。よく見れば、今回はヒルダは完食?しているにもかかわらず、ラインハルトはサンドイッチとスープをめちゃくちゃ残している。激務なんだから栄養補給をしろ帝国宰相 
 ヒルダとしてはサンドイッチを鷲掴みにしてラインハルトの口に「食え!」「食えば元気になる!!!」と突っ込みたいだろうね……伯爵令嬢なので腐ってもそんなことしてないけれども!

 そんな優しい(優しすぎる……女神……)ヒルダに、ラインハルトも心をひらいているのか自分の思想をむき出しにする。 

平和とは、無能が罪ではない幸福な時代を指していうのだ

 ここで眉根を寄せるヒルダ。ひやひやした。ヒルダには従弟がいる。生まれてからずっと病気で、動くこともままならない、平和な世の中でしかいきられない従弟が。そのキュンメル男爵は存在が罪とされてしまうのだろうか。
 ヒルダの深謀遠慮さを感じるのはここで「私には従弟がいます」と訴えないところ。こうやってカウンターを打つところだ。

宰相閣下は、ご自分の地位や権力をお子様におつがせにならないのですね

 ラインハルトが「うーん」と考え込んだのは、「お、俺、子供いたっけ!? は!ひょっとして彼女のお腹に俺の子が!?」とやっぱり自分のなかに親としての愛情があり、『ちょっと俺、行き過ぎてないか?』と気づいたせいなのか。そもそも子供ができるなどと思っていないのか。でも彼は自分の思想を自己正当化してしまう。

「私のあとを継ぐのは、私と同じかそれ以上の能力を持つ人間だ」
「私を背後から刺殺して、それですべてが手に入ると思う人間は、実行してみればいいのだ。ただし、失敗したらどんな結果がもたらされるか、その点には充分な想像力を働かせてもらう」

まだ生まれないアレクサンデル君「銀河をかけた壮大な親子喧嘩(めちゃくちゃ流血沙汰)を延々としろってことですか!?
なんだこの思想……息子に殺されたい系主人公ラインハルト
鎌倉殿の13人の北条義時は泰時が好きすぎて彼に反抗されて嬉しそうだったけど、それとはちょっと違う、なんというか、ダイナミックだな

さすがにアレクサンデル君(存在しか知らない)が可哀想すぎる\(-o-)/
ひょっとしてラインハルトは自分の父親が酒くずだったせいで、父親に対して子どもが愛情を抱く可能性を考えないんだろうか
これは、父上(未来はたぶん皇帝)と関係のない仕事(ミュージシャンとか)につくしか宇宙の流血を避ける手段がない。でもこの父上、息子の進路選択とか交友関係にめちゃくちゃうるさそう。

まあそんなこといっても、絶対子供産まれたらこの子のために銀河を手に入れるっていうふうに発想をすり替えると思うんスよ!!!(どうやら三十七話くらいぶっ通しで見ているとこの主人公、銀河を手に入れる理由を「姉のために」から「キルヒアイスとの約束を果たすため」とコロコロ変えてるんだよな……)

 この世紀末みたいなやり取りは、ヒルダの「ローエングラム公をローエングラム公たらしめるために(=ラインハルトの銀河レベルの暴君化を阻止するために))」という決意につながるけど、こういうのを銀河レベルの愛というんだろうなあ。

ルパート

 ラインハルトが「息子に背後から刺殺されてえ」「息子とガチンコ勝負がしたい」と酒に酔った勢い(たぶん)でわけのわからんことを言っているのと対照的に、実際に文字通り父親を背後から刺殺したくてたまらない「凡人」を描いたのがエグいと思った。
 この回でルパートを好きになった。

 声の演技がまず凄い。「気にしていらしたのですか」の震え。
 全体から漂う怒り、あきらめ、憎悪、惨めさ。
 ずっとルパートは右側から映されている、つまり髪の長いほうが目に入るように映されている。だから、母親似と言われていることを含め、まるでルパートの母親の亡霊がそこにいるかのように感じた。「その日の食事にも困る貧しい家の娘と」というところのルパートが多分一番母親に似てそう。
 ルパートと母親がどんな暮らしをしていたのか定かではないが、彼の口ぶりから察するに地獄のような暮らしをしたのだろう。そのうえでこの世の富を享受する父親は自分たちのことを忘れていなかったという。
 たぶん、親子と名乗ってはいけない親子はあるなあ、と今回思った。

 しかし、なんで今回ルビンスキーおじさんは、親子の名乗りをしちゃたかな。どう考えても自分の所業的に「ルパートに恨まれている」と考えるのが当然だし、ルパートを補佐官として穏当に使い続けたいなら波風を立てないほうがいい。ルパートを辞職に追い込みたいんじゃなければ
 思うんだけどもルビンスキーおじさんは、薄っぺらい宗教観にしろ、明らかに名乗りを上げてはいけなかったのに親と名乗ったことにしろ、ルパートの母親の妊娠をわかっていながら捨てたことにしろ、「極めて有能で非凡だけれども、決定的な部分が浅い・欠けている」という印象が強い。
 まだ23歳のラインハルトや、アラサーのヤンさんのほうが圧倒的に誠実だし大人に見えるのだ。
 何が欠けているかは今後の展開を見なければよくわからないけど、今回そんなことを感じた。

 ルパートは凡人なんで恨みしか見えてないと思うんだけれど、非凡に踏みにじられた凡人の血を吐くような叫びを聞いた気がして、このシーンは涙が止まらなかった。

 ラインハルトはキルヒアイスと姉上を自分なりに大事にしている誠実な人間だし、フロイライン(ご令嬢)とよんで尊重するヒルダに対しても不誠実なことはできないと思うので、そもそも息子に背後から刺殺される可能性を自ら狭めに行っているよね(^v^)

おまけ

 ミュラーの罪を許すラインハルトがあまりに目がくりくりしていて可愛い系の美人だったんだけど、シャフトに対しては全然可愛くないラインハルトがあんまりにまんまでウケた。ミュラーがぶっ倒れたのは気が抜けたからというのもあるけどラインハルトの美貌を久しぶりに見てあてられたからという説を推したい

まとめ

・ラインハルトが世紀末みたいなこといってるけど自分でその可能性を狭めているので全然だいじょうぶだと思う
・逆にルビンスキーおじさんは、ルパートの地雷を踏みまくってるからいつか後ろから刺殺されると思う
・風邪引くヤンさん。身体が本来強くないんですかね(小さい頃はワープで発熱や嘔吐をしていたと聞き)。こっちも酒くず街道まっしぐら。
・ケンプが死んだせいでロイエンタールのソウルジェムが濁っちゃった。ロイエンタールって本当に繊細なタイプだな……いや、ミッターマイヤーをはじめ他のローエングラム元帥府の皆さんが鈍感なんだろうか

 今年も一年間お世話になりました。来年も感想をつづれたら綴っていきたいです(^v^)

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