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彼女いない歴=年齢のラインハルト君に、春が来たぞーッ!〜銀河英雄伝説 Die Neue These (16)感想
世の中興奮することはたくさんあるけど、やっぱり一番興奮することは、今まで仕事ばかりで彼女いたことない男の目の前に可愛らしい女の子が現れた時だよね(サンドウィッチマゲフゲフ)
もっと興奮するのはその女の子が今までの登場人物の中で誰よりもクレイジーだった時だよね
「ありがとうございます、お父様。本当に感謝しています。面白い時代に私を生んでくださって」
本当に嬉しそうに楽しげに言う少女はヒルデガルドという名前らしい。
おま、この時代を「面白い」っていうとか正気か!? ラスボスなんだか主人公なんだかわからないあの主人公たちでさえ言ってないぞ!!!!
物語中最強が決定した瞬間である。
元帥府の受付が普通にあって安心した
ヒルデガルドは実家のマリーンドルフ家を救うため(というより来たるべき「内戦」に備えるために先手を打って)、父の名代でローエングラム元帥府に赴き、ラインハルトの知遇を得る。
元帥府に普通の受付があるのでホッとした。皇帝陛下に謀反を企む不埒者の集まる元帥府だから何かの万全を期すため剣山地獄腕立て伏せとかでもしない限り中に入れない仕組みかと思っていた(男塾とローエングラム元帥府を混同していr)
あと他の人(主にキルヒアイス)が規格外なだけで、ラインハルトも巨大だとわかった。
結構ナイスバディなヒルデガルド二人分くらい横幅があるので遠近感がバグった。ラインハルトはひょっとして作中女子一華奢(……と思われる)なフレデリカ三人分くらい横幅があるのかもしれない。そう考えるとフレデリカかわいいな……何は無くとも可愛いけどな
あんまりラインハルトと遠近感がバグらないアンネローゼも大きいのかもしれない。姉ちゃん、フレデリカ二人分くらいあるのかも。アーッ! 巨大な姉弟にヤンさんが素手でへし折られる!!!
案外すんなりラインハルトに会えたヒルデガルド。たぶん姉以外まともに女性に接したことのないラインハルト(二十一歳らしい)、受付に自分に会いたがっている女の子が訪ねてきていると聞いて「ほぁぁぁっ!?」という奇声を発し、元帥府の皆さんが「行かれたらどうですか?」「閣下にも彼女ができるかもしれない!」「そうですぞー二十一になんですから彼女の一人や二人や三人や十人作っといたほうがいいですぞー」「L●NEの交換を忘れずになさるとよろしいでしょう」とニヨニヨしながら囃し立てる中、「……行ってくる」と気合を入れて会いに行ったに違いない。
女の子につられて自ら面会したのが幸いして、ラインハルトは非常に優秀な人材と出会うことになる。
……「いずれまたお会いしましょう」って何言ってるんだこの元帥
こうぶんしょ……?
ヒルデガルドと会話するときのラインハルトのキャラが崩壊しているのが今回の見どころだろう。
ラスボス・ラインハルトは姉の前だとよく威厳と悪辣さetc…という化けの皮がはがれ、ただの姉想いの実直な二十前後の青年と化してしまうが、今回は「私は部下にパワハラなんか絶対しないし、あまつさえ親友にそのことで怒られたりとかしない、銀河一の紳士です」みたいなキラキラした雰囲気を出している。どうやらこの元帥、いつのまにかその顔面にふさわしい、王子様キャラという猫を獲得していたらしい。
「何、せっかく味方してくださるのだ。あなたの労と勇気に報いるのは当然のこと。私が役に立てることがあれば、何なりと言ってもらいたい。遠慮なぞせずに」
これを全ての感情を抑えて「……援軍以外で」と付け加えてビッテンフェルトに言ってればビッテンフェルトもピーッて泣かずに済んだかもしれない
ラインハルトの顔とヴォイスの甘さがすでにビッテンフェルト相手と全然違う。ビッテンフェルトマジで泣いていいと思う
WHAT!?!?
とりあえず会話の内容を辿れば、ヒルデガルドは実家を救うため、ラインハルトに助けを求めた。
彼女の話はお嬢様とは到底思えない剛腕強気なものだ。
①ラインハルト閣下は勝つだろう。名分があるから
大義名分というと嘘くさく聞こえてしまうかも知れないけれど、「隣国が国際法を破って我が国の領土を侵略している」とか「核兵器を隠している」とか、戦争という社会でのルール違反をするのに、周囲が納得する切羽詰まった理由があれば、周囲は助けてくれる。ラインハルトの場合、幼帝に反逆してくる人を討伐するという周囲が納得する切羽詰まった理由がある、——とヒルデガルドは言っている。
②それに相手方は一枚岩じゃないよね
ラインハルトは、髪型がアヴァンギャルドで奥さんが美人なブラウンシュバイク公と髪型が普通で奥さんが怖そうなリッテンハイム侯の双方を敵に回したが、双方は自分の娘を皇位につけたいため、すごく仲が悪い。
思ったのだが、銀河帝国の帝位継承順位がわからない。もし男系で継承しているなら、嫡孫(おじいちゃん帝の息子の孫)であるエルウィン・ヨーゼフ一択だし、女系も許容しているなら、まずはおじいちゃん帝の娘、皇女であるブラウンシュバイク公の妻かリッテンハイム侯の妻が女帝に即位するだろう。もし妻たちが婚姻の際に帝位継承権を返上していたら、その帝位継承権が娘に受け継がれることはないはず。また、女帝を許容しているなら、皇女である彼らの妻はどちらかがおじいちゃん帝の生前から皇太子になっていたはずだ。
ひょっとしてラインハルトやリヒテンラーデさんたちは普通にそれしかないからエルウィン・ヨーゼフくんを擁立しているだけで、妻を擁立せず娘を擁立するブラウンシュバイク公とリッテンハイム侯は帝位継承について娘可愛さに大幅にうっかり勘違いしている可能性か、帝国が「結婚した皇女に継承権はないが、その娘になら嫡孫と同程度の優先度で帝位継承順位がある」という特殊な継承法を採用している可能性がある。
③それにラインハルト閣下って下級貴族だろ。平民出身の兵士の支援を受けやすいと思う
④絶対勝つから、私たちは閣下に味方します!
⑤だから家門と領地を安堵してくれよ〜
ラインハルトのヴォイスが甘すぎて「公文書?」が「こうぶんしょ?」とひらがなに聞こえた。え!? 誰この男!
とはいえ春めいてばかりいるわけではなく
ちょっと面白かったのが、ラインハルトがヒルデガルドにちょっとしたおねだりをしていることだ。
「マリーンドルフ家はもちろん、その口添えがあった家々は、重く遇することを約束する」
ヒルデガルドは実家が助かることを目的にしていたので、他の家のことは特に話題にしていなかった。でも、ラインハルトはヒルデガルドの話に他の家の話題をねじ込む。
つまり、「ヒルダちゃんの知人縁者も、俺の味方をするように説得してきてよ♡」と言ってるんだろうなあ。
前回の、ヤンさん達が二百万人の捕虜の中から反乱分子を見つけなきゃならなくなったことしかり、人を働かすのが好きな御仁である。だから「あなたの労と勇気に報いるのは当然のこと」と紳士めいたセリフを吐いているのだろう。
単にラインハルトに会いにきたことだけが「労と勇気」であればこれほどヒルデガルドを舐めきった言葉もないから、これからヒルデガルドが他の家を説得して回るだろう未来の「労と勇気に」報いようとしていると考えることができる。
ヒルデガルドはこれに一旦は頷いている。
「閣下の寛大なお言葉で、わたくしどもも、知人縁者を説得しやすくなります」
でも、彼女がクレイジー抜け目ないのはここからだ。「知人縁者を説得しやすくなります」という甘い言葉につられたラインハルトが「私が役に立てることがあれば、何なりと言ってもらいたい。遠慮なぞせずに」と王子様キャラを出してきたのを最大限利用する。
「マリーンドルフ家に、その忠誠に対する報酬として、家門と領地を安堵する、そう保障する、公文書をいただきとう存じます」
ヒルデガルドは他の家を説得するという面倒ごとを避けるため、実家と他の家を明確に区分する公文書を作るようラインハルトに依頼している。そんなに「公文書」は乱発して許されるものではない。
ラインハルトが多分「公文書」でピクッとなったのは、ヒルデガルドにしたちょっとしたおねだりが看破されたのがわかったのだろう。彼女の「そんな面倒くさいことできるわけないでしょう! あなた自身がやりなさいよ!!」という意志を受け取ったようだ。
でもラインハルトは王子様キャラを使いこなしながら食い下がりまくる。
「ところでフロイライン・マリーンドルフ、あなたが説得してくださる他の貴族に対しても、同様のものが必要かな?」
ヒルデガルドは自分からは一切他の家の話をしていない。だが、ラインハルトが「説得してくださる他の家」という話題を出すのは、公文書を多少乱発してでも、ヒルデガルドが動いて、彼女の親類縁者をこっち側に引き入れてもらえればラク、と考えているのだろう。
だが、ヒルデガルドは負けない。
「自主的に求めるものには、お出しくださいますよう。(略)新しい時代を生きる力のあるものならば、閣下の慧眼がお見抜きになるでしょう」
これでヒルデガルドは他の家を説得しに回らなくてもよくなった。自主的に、なのだから別にヒルデガルドが動く必要はなく、ラインハルトの「慧眼」が見抜けば良い(工作したければラインハルトがそれぞれの家に工作をすれば良い)だけとなった。
ヒルデガルドは「私にそんな面倒くさいことできるわけないでしょう! あなたが自分でやりなさいよ!!」と、イケメンに課せられそうになっためんどくさいことを回避した(みたい)!!!
なかなかしたたかなお方だ。貴族の中にあなたのようなひとがいるとは
ラインハルト的にはズッキューン♡ってなっているっぽい。これはたぶん「一戦交えてうぬに惚れたぞ……♡」って意訳すればいいんだと思う。また会えるといいね〜!
それににっこりするヒルデガルド。ラインハルトに好感情を抱いているんじゃないだろうか!! やったねー!春だねー!!
なんとなく察したけど、この二人の間には、どうやら後で息子(アレクサンドルくん)ができるらしい(このじれじれした状態でどうやって出来るのかは知らない。二人で木に成っている息子を収穫するんじゃなかろうか)。
父母の馴れ初めを知りたくてビデオを回したらこんな面倒くさい仕事の押し付け合いをする泥臭い馴れ初めだったと知ったとき、アレクサンドルくんはしわくちゃピカチュウみたいな顔になりそうである。
とはいえ、「鎌倉殿の13人」のやはり主人公の息子・北条泰時(坂口健太郎)くんの父母の馴れ初めよりかはマシかもしれない。アレクサンドルはまだ父になる予定の人が母になる予定の人に王子様フェイスしてたら公文書引き出されただけだけど、泰時くんは父になる予定の人が母になる予定の人に「十年前にあじさい差し上げましたよね」とか言ってたら罵倒されているので、1話を見たら味噌が嫌いなアシリパみたいな顔になりそう。
でもラインハルトに春が来たんじゃないかな!! シスコンすぎて彼女いない歴=年齢のまま「ローエングラム侯爵閣下、超絶シスコンなんですってよ」ととありとあらゆる女性にバレて「シスコンすぎて銀河を手に入れようとしている」と事実極まりない噂をあちこちで流されていそうだから、独身のまま終わるかと思っていたら、……いやー、意外なところに出会いは転がっているものですなあ
ジェシカにフレデリカにシェーンコップと、二人の女性と一人の男性とフラグが立っている器用なモテ男・ヤンさんに電話していろいろ相談に乗ってもらえばいいんじゃないかな……ラインハルト
まとめ
・クレイジーな文官系の賢さの持ち主・ヒルデガルドが降臨してきた。
・ラインハルトに春が来て王子様キャラになってしまった
・この甘いヴォイスと紳士ぶりをビッテンフェルトにもやってくれよおおお
・「貴様たちは賊軍」ってドヤるラインハルトとヒルデガルド相手のラインハルトが同一人物とは思えない。同じ中の人の別作品の話が同時に放映されただけでは?
・ラインハルトには春が来たが、門閥貴族陣営のおっさんたちが愉快なため、オフレッサーさんやメルカッツ提督が厳冬のような顔になっている。
・「ご武運を、ラインハルト様」と微笑むキルヒアイスが逆光のせいでこの世の人ではないかのように見える。もうすぐ寿命なのだなあ……