バイトリーダーは言った。「賞味期限切れの小麦粉…だと…?」
留学先であるイギリス大学院内のバイトに応募し、なんとか学内スーパーで働けることになったところまで書いたら力尽きた前回。
やっと、バイト内容の話です。
場所はイギリスであっても小売店のすることは大体同じ。
掃除・品出し・レジ打ち、これが大半。
私は前職が小売店の販売員なので、レジの打ち方さえ分かれば大体問題ないだろうと踏んで応募したのであった。
出勤初日、まずレジ打ちをササっと教わったら10分後にはもうレジに1人で放置され、入社して1か月はレジに触れなかった前職との違いを噛み締めた。
また「フレンドリーであることも大事だから!How are you?とか、お客さんと会話してね!(意訳)」と言われたのがとても印象に残っている。そういえば、客としてその店を使っていた時に全然知らない人にレジで聞かれたな、How are you?って。私はものすごくうろたえてしまったんだけど。実際聞けばお客さん皆自然にGreatとかNot badと答えてくれる。が、私が落ち着かなかったので、結局最後のHave a good day!の挨拶で全てのフレンドリーさを伝える方針にした。
レジは単純動作のようで、結構やることが多い。自分で計量してシールを貼ってから持ってきてもらわないといけない野菜や果物を、「そこで量ってくださいねー」という誘導や、スナック・ドリンク・サンドイッチからなるmeal dealというセットの対象商品説明など。
一番大変だったのはタバコの種類と関連商品を覚えること。自分は吸わないし、日本でもタバコは売ったことないし、タバコ巻く用の紙やフィルターに至っては未知の世界だった。それでも大学構内にあるためか、客層がものすごくよいので「すいません、どれかわからないから指さしてください…」とお願いしても、嫌な顔をされたことが一度もないのが最高だった。
仕事に慣れてくると、レジに余裕があるときは売り場の食品の賞味期限チェックが私の日課になった。大体誰かが頼まれてやっているのだけれど、慣れているせいか、私の賞味期限切れ発見率がものすごく高いので、自分でやるようにしたのだ。大体週2回出勤するたびに何か1つは見つける。
まぁそれだけではなく、賞味期限間近の商品は値下げして売られることが大半なので、自分が欲しい商品安くならんかな~という下心もちょっとあったりする。私のバイト先は、どうも売り上げに応じてではなく毎回同じ点数の発注をかけているのか、在庫過剰になりやすかった。サンドイッチや冷凍食品のグラタン、ピザ、ヨーグルトなどなど安く手に入るのは本当にありがたかったけど、元販売員としては発注どうなってるんじゃと思わんこともない。
毎回新たな賞味期限切れ商品を見つけることには慣れていたが、さすがの私も引いたものがある。売り場の棚の最下段に並べられている500gだったか1kgの小麦粉、10袋くらい。その賞味期限が切れていた。
…え、粉ものって年単位でもつでしょ???
その小麦粉全部をかごの中に入れ、その日のリーダーの元に持っていく。
ーねぇねぇ、この小麦粉賞味期限切れてたよ。
まず返ってきたのは「What?(は?)」だった。あ、驚くんだ。よくあるよ、みたいな顔されるかと思っていた。そしてリーダーはとても分かりやすく「賞味期限切れの小麦粉…だと…?(意訳)」と言って絶句していた。
あれは、申し訳ないけどおもしろかったな。
品出し・掃除は特筆するようなエピソードがないので割愛。
何度でも言うけど、イギリスの大学内バイトは本当にお勧めです。
次気力があるときには、お客様の話も書いておきたい。