20240804 『わたしの本はすぐに終る』を読み始める

きみの春のあひだに
ぼくの春はかき消え

吉本隆明「ぼくが罪を忘れないうちに」

いつの間にか出ていた吉本隆明の詩集『わたしの本はすぐに終る』を買って読み始めたが、一発目の詩にもうやられてしまった。講談社文芸文庫、3190円であるが、許してしまう良さ。全集を買わずにエッセンスに触れられるのだから、ありがたいことだ……。

一篇目は「ぼくが罪を忘れないうちに」。吉本隆明が20代だった頃の詩だと思われるが、まずこの、どこか懐かしい、いかにも20代左翼青年といった感じの題よ! 詩の中身もそうで、隠喩にまみれながら、論理を選んでしまった自分と、温かな、穏やかな、共同体的な「敵」(引用中の「君」とは「敵」のことだ)、敗北を甘受してしまいかねないような「敵」が語られ、懐かしさに心揺さぶられ、何というか、醒めたまま酔っ払ったような気持ちになり(詩を読むと詩人になってしまう)、読み進められなくなってしまった。続きは明日読もう。明日の詩は、世に聞こえた「涙が涸れる」である。この密度、一日一篇でも良いなぁ……。

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