環境が変わると話題も変わるのだな
例えば、転職したら。きっと新しい分野の話をたくさんするようになると思う。
例えば、新しい趣味と出会ったら。その世界が新たな関心事になると思う。
そんなことを痛感した出来事が、最近あった。
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先日、高校からの友人と会った。
彼女はわたしの尊敬している人の一人であり、そして数少ない長い付き合いの一人。今はご時世がご時世なもので、会う頻度はめっきり減った。会う頻度は減ったけれど、連絡は頻繁にとっていて、昔からだけれども、そんなに久しぶり感のない間柄でもある。そして、無言でも過ごせてしまう仲でもある。
そんな彼女と、あらかじめ決めていた目的のお店に行った後、少し時間が余ってしまった。それならば、と、わたしの買い物に付き合ってもらうことにした。滅多に来ない場所ということもあり、キッチン用品のお店と調味料のお店に行きたかったのだ。彼女は快く付き合ってくれた。
でも。わたしは少し、申し訳ない気持ちになった。
彼女は独身で実家暮らし。わたしは結婚して所帯持ち。結婚する前のわたしが付き合ってもらう買い物とその日の買い物は、全くと言っていいほどかけ離れている。別ジャンルだ。せいぜい、親に頼まれたときくらいしか立ち寄らないお店ばかりだ。きっと興味なかっただろうなぁ、と思わずにいられなかった。もちろん、彼女はそんなこと気にする人ではないことは、重々分かってはいるのだけれども。
勘違いしてほしくないのだけれど、わたしは他人が独身であることにも実家暮らしであることにも、善悪感情を持っていない。人にはそれぞれ事情がある。本人が納得していれば、望んでいれば、別にそんなことは些事だと思う。わたしも長いこと実家暮らしだった。当人の中では様々なドラマがあって、思うこともたくさんあるだろうけれど、他人がそれをジャッジするのはナンセンスだと思うのです。
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この買い物で、自分の興味関心の矛先が、ガラリと変わっていることに気がついた。
結婚する前は、台所仕事どころか、家事全般が壊滅的に苦手だった。嫌いで、好きになる努力さえできていなかった。
人は変わるものだ。今はどうモチベーションを上げれば、どこを関心事とすれば、家事を頑張ろうと思うのか、楽しいと思うのかが分かってきた。ここが分かってくると楽しい。家のことは任せて!!と、少し前の自分からは想像できない言葉が口からこぼれる。自然と自分の中の興味も、家のことに集中してきたみたいだ。
今はキッチン周りで欲しいアイテムがいくつかあるし、美味しい晩ご飯を作って食べることが楽しくなった。食べることも、料理も、あまり得意ではなかったはずなのに。
もちろん、お洋服も文房具も大好き。でももう、マスキングテープ1つのために駆けずり回るようなことはしなくなった。衝動買いも、しなくなったと思う。
代わりに、街中でお皿を見かけては、あのお料理に合いそうだと想像するようになった。今度は家でどんなものを作ろうかと、考えるようになった。
今の自分も、悪くない。
環境が変わって、趣味が変わった。大いに結構なことだ。
ただ少し、寂しさはある。
こうやって少しずつ少しずつ、友人と興味関心をもつジャンルが被らなくなっていくのか、と。
そんなことをぼんやり思いながら、買ってきたキッチン用品ににんまりするのでした。