見出し画像

パンを集める日々

昨日のこと。

お外は暗くなり、寒さの中を潜り抜け自転車を一目散に走らせ家に到着した私に、息子の大福から一言。


「明日の調理実習、鰹節12グラム持っていくんだけど、ある?」



ないわ!!!

療育終わったあと、帰るコールしたよね?

電話したよねぇ!?!?

なんでその時教えてくれなかったのーもぉぉーう!!!



家に帰り、娘の苺をお風呂にいれて、ご飯を炊いて…という段取りが全部吹っ飛ぶ。

この時、苺は洋服を脱ぎ始めていたし。



「苺の身体と髪の毛洗う仕上げ、できるか?」

「やります」

大福に苺のお風呂を全部任すのは初の試み。



いつも一緒に入っているのだけれど、苺がわっしゃーと自己流で頭と身体を洗い、まばらに泡がついている状態から改めて私がいつも洗い直している。

苺をお風呂に入れるために部屋着を身につけてしまえば、あの寒い夜の中に飛び込んでいく勇気と元気がなくなってしまうかもしれない。

「あとは頼んだ、大福よ!!」

「おっけーい」



最悪なことに電動自転車の充電、残りわずか。

重い充電器をよいしょ、よいしょと家に運び込み、充電しようとした矢先の出来事です。

また、少ない電力しか残っていない充電器を家から自転車まで運び、自転車に装着して、帰ってきたらまたこのクソ重たい充電器をえんやこら家まで運び込まなきゃいけないんでしょう?

めんどくさぁい!!!



それくらいのこと、大福のために快くやってあげなよ、と心の中で天使の私が言う。

こちとら、やっとこさ寒いなか家に帰ってきたんだよ、さっき電話で言ってくれたらこんな二度手間必要なかったじゃないか!!

本音がドドドドーと勢いよく現状を並べ立てる。

勝者、本音。

これは悪魔の声じゃない、私の心からの本音の叫びだ。


でも、大福は状況を察して快く妹のお風呂を引き受けてくれたわけだし、私はもう一度充電器を抱えて夜のお外へ飛び出して行った。

こういう時、近所に借りるって手もあるかもしれない。

いやでも鰹節12gってけっこうな量じゃない?

足りなかったら、やっぱり買いにいかなきゃいけないし、計りを持ってよその家に突撃して鰹節の量を計りだすのは無礼だ、エキセントリックすぎる。



スーパーで自分を労るためのいちご大福をカゴにいれて、鰹節も忘れずに。

パンコーナーでポケモンパンを見つけて、しゃあねぇなぁーと心で呟きながら二つ掴んだ。

いま、対象商品を買ってポイントを集めるとポケモンゲーム内でポケモンが貰えるらしい。

大福は20ポイント集めることを目指してる、パン一つにつき1ポイント。

先はまだまだ長いなぁ…。

古(いにしえ)のオタクだった私は、こういうの応援しちゃう。

わかる、わかるよ、めんどくさいけど協力するよ…。



家に帰ると、さっぱりお風呂上がりの大福と苺がパジャマ姿で待っていて

「しゃつが、ない!!」と騒ぐ苺の足元から肌着のタンクトップを引っ張り出して渡した。

灯台下暗しってやつか?

3歳は視野が狭い。

ポケモンパン買ってきたよ、と言うと大福と苺がわーいと無邪気に喜んだ。



苺の髪の毛を乾かしたあと台所に行き、夕飯を作る前のエネルギーチャージとして、いちご大福をむしゃむしゃ食べた、無心、虚無顔で。

子供たちには内緒だ。

大福に「鰹節は何に使うの?」と聞くと、どうやら出汁を取るらしい。

つまりは、だ。

前日に鰹節12gを持ってきて、という無茶振りだなぁと思っていたけれど、一般家庭では鰹節を大量に常備していて、出汁を取っていらっしゃるという想定ですか?

そんな丁寧な暮らしはしていない。

たぶんね、大福が支援学級と通常級を行き来して、その影響により情報を得るのが遅れてしまっただけだと思うけれど。

今日の朝、連絡帳を見てみたら支援学級の先生から

「急でごめんなさい」と一言添えてあった。

大福のクラスには色んな学年の子達が支援学級と普通級を行き来してるので、全部把握できなくて当然だと思う、せんせいは悪くない、気にしないでくださいな…!


夜ごはんはオムライスの予定でしたが、大幅に時間が遅れて、私のエネルギーも残り少なくなっていた。

ぴこんぴこん、ウルトラマンの限界が近づく音がするよ、赤が点滅、ちかちか。

けっきょく、ポケモンパンを少しでもおいしくいただこうとフライパンに油を少量垂らして両面を焼き、目玉焼き、ウインナー、昨日の残りの白菜の炒め物を夜ごはんとして食卓に並べた。

なんだろう、この朝ごはんラインナップは。

ポケモンパンは夜ご飯の一部になりました。


あと何個ポケモンパンを買わされるのやら…。

ポケモンパン購入し続ける日々はつづく!!!

いいなと思ったら応援しよう!