人生の正解に至る方程式はない
「自分の人生を肯定するキーワードが欲しい」
そんな思いをもって、この本を手にとった。
この本は、2020年コロナのために夏の甲子園が中止になった高校3年生の球児の物語である。愛媛県の済美高校と、石川県の星稜高校の野球部員をインタビューしたものだ。甲子園という目標を失った球児たちが 、何を新たな目標にするのか、そして3年生が終わった後何を感じたかを語ってくれたものだ。
私は還暦間近だが、「自分の人生は中途半端なのではないか?」
という思いを、いつも抱えていた。
だから、自分の人生を肯定してくれる言葉が欲しかった。
どうしたら、自分の人生に合格点をあげられるのだろうか?
何があれば納得できるのだろうか?
これからの残りの人生にも希望を見出したかった。
生き切るには何が必要なのか?
私は納得できる生き方のヒントを探していたのだ。
でも、この本に私の求める答えはなかった。
そうだ、正解は無いのだ。一人一人導き出した答えが正解なのである。
よい人生という方程式はないのだ。
ただ一ついえることがある。
それは、「目標」を明確にすることだ。
この本では、 監督が方針を決めきれずに悩んでいた。3年生全員を試合に出すのか、それともメンバー選手だけで試合に臨むのか。
監督の腹が定まらないうちは、選手たちは練習に集中できなかった。
しかし、「メンバー選手だけで試合に勝ちにいく」と監督が目標を定めてからは、メンバー選手もメンバー外選手も、チームの勝利のために練習に励んだ。
人は、自分の歩んできた道に合格点をつけたがる。 自分を肯定する言葉を探し求める。その言葉がみつかれば納得でき、満足できる。その言葉がみつからない時、人は苦しむ。でも、努力できた時は、ぴったりの言葉が見つかるものだ。
自分がしていること、してきたことを言語化できた時点で、合格点をつけられるのではないだろうか。自分の人生に自信がないときは、自分のやってきたことを言語化できていない時なのかもしれない。
人生には正解に至る方程式はないが、目標を明確にし、自分のしたことを言語化することで、自分にしか当てはまらない正解への方程式ができるのかもしれない。
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