無知が皇居に行ったら、全ての想像を裏切られた
先日、皇居に行った。
これと言った理由はない。
ただ、急にどこか遠くに行きたくなってそのときの予算と時間で行ける場所が皇居だったのだ。
地下鉄に揺られながら、二重橋前駅を目指す。電車内でなんとなく皇居のことを考えた。
そうか、皇居か。
行ったことないな。というか、興味すらあまりなかったな。自分から遠すぎて。なんか荘厳な場所だったらどうしよ。めっちゃ何かに囲まれてる感じで、そこに皇居があったら。
皇居の周りに公園があるってことは知ってるんだよな。どんな公園なんだろ。キッチンカーとかあるのかな。あったらいいな。ホットドックとか。
そんなことを考えていたら、あっという間に二重橋前駅に到着した。急いで降りる。そして、皇居に一番近い出口から階段を上って地上へと出る。
すると、眼前にはずいぶんと開けた景色が広がった。
まず目の前には一本道があり、その右側には大きな溜池のようなものがある。左側を見れば車道が走り、その奥には青々とした樹木が植えられている。
私は、思わずぽかんとしてしまう。
私にとって皇居はどこか閉塞的なものだった。そのため、最寄り駅が開放的な場所だとは思わなかったのだ。
加えて、何もかもがバランスが取れた配置で置かれているように感じる。なにかを通すためやなにかをかいくぐるための無理矢理感が無くて、全てが緻密な計算のうえで置かれているように感じた。
私はそこにミニチュア的ななにかを感じて、感心とともに恐ろしさも感じた。
そんなことを思いながら、まっすぐ歩くとすぐに人だまりとなんかすごい建物が見えた。
人の多さとその建物から発される威厳から、あれが皇居なのだと理解する。
皇居の方に近づいてみる。
近くの玉砂利でゴミ拾いをしている人を見かける。
「お疲れ様です」と心の中で呟きながらさらに近づく。
途中、人だまりがいたと思われるところに到着する。
そこは濠のきわらしく、そこからは大きな橋が見える。どうやら、正門鉄橋というらしい。水際のところに説明が書いてあった。
石で作られたように見えるのに、なんで鉄なんだろと疑問に思う。だが、とりあえずその疑問を置いて、私はさっきの人だまりを追いかける。皇居の前まで移動していた。私も追いかける。
正門鉄橋の奥に皇居が見える。
私は橋の上に視線を走らせた。
そこには、大きな扉があった。そしてそのうえには、瓦のようなものが見える。
すごい立派な家だ。
とても大きくて、歴史を感じさせる家だと思う。
しかし、私が想定していた皇居よりはずいぶん一般的なナリだと思う。
私が考えてた皇居は、とても重厚感がある作りをしていたのだ。家というよりは、むしろ城みたいな。普通の建物ではなくて、見るだけで次元の違いを感じさせてくれるような。
だが、実際の皇居は同じ次元の最高級ランクみたいな感じだなと思った。
その現実に少し肩を落としたのは事実だ。
でも、その現実に納得もしていた。
天皇は神様じゃない。人間なのだ。同じ次元の最高級で何も間違いはない。むしろ、それがあるべき形なのだ。
私は妙な納得を得て、帰路に就いた。
その後、この記事を書くために皇居について調べた。そのなかで、新たに分かったことがある。
一つ目は、私が見ていた橋は正門鉄橋ではなく、正門石橋だったこと。
二つ目は、私が見ていた建物は皇居ではなく、正門だったこと。
いや、馬鹿だ。愚か。
いや、ガチで。自分の愚かさにびっくりした。
橋の勘違いは分かる。
二つの橋がかかっているのだ。見るときも遠目だったから許容はされるかもしれない。
しかし、正門。てめぇーはダメだ。
いくら橋を鉄橋と勘違いしていたからと言って、「正門」ってついているだろうが。なんで、その奥にある建築物を皇居だと思ったんだ。馬鹿か。
ちなみに皇居について検索したら、普通に城みたいだった。アホじゃん。
天皇はやっぱ次元が違うのだ。
入るための門すらも、家だと勘違いさせてしまうほどには。