ライブが日常の延長であるイギリス人、非日常空間である日本人

音楽が好きなので東京にいた頃はよくライブに行っていた。ロンドンに住み始めてからはお客さんとしてだけではなく、好きが高じて始めたイベントスタッフの仕事でも何回か参加している。こちらのライブ会場で感じたのは、日本に比べてよりラフに、日常生活の1つとして楽しんでいるということだ。

イギリス人は日本人と比較して話好きが多い。普段の生活でも軽い気持ちで1個質問したらベラベラベラーって10個答えてくれて少し困る、みたいなシーンはあるあるだ。それはライブ会場でも変わらない。ライブが始まる前も当然アルコール片手にお喋りしており、演奏がスタートしてもお喋りしている人は少なくない。曲間ではお喋りの声で会場が満たされている。MCなんて聴いている人いるのかと思うレベル。

日本だったら演奏中は演奏を聴く人が9割9部占めており、お喋りしてる人なんて稀だ。演奏中の会話はマナー違反と見なされて白い目で見られることもある。
しかしこちらでは演奏を聴くか、歌うか、お喋りするか、スマホをいじるかは本人の自由だ。みんな好き勝手に楽しんでいる。日本の会場のように全員が腕を突き上げて前後にブンブン振る景色は絶対に起こり得ない。

イギリスには生演奏があるパブが少なからずある。仲間とワイワイ飲んでる途中で演奏が始まってもそれはBGMであって、構わず会話を続けるのは普通だろう。
ライブにもその延長という感覚で来ている人が多いと思う。また、路上ミュージシャンも日本より圧倒的に多く、地下鉄構内にもたくさんいる。日本より音楽が、生演奏が身近な環境が出来上がっている。身近であるが故、有り難みも減るから演奏中の会話に抵抗がないのだと思う。一方日本ではライブは非日常のイベントであり、特別なものと捉えている人が多いから、ライブ前にそのアーティストの曲を聴いて予習したり、ノリ方まで調べてから臨む人は日珍しくない。しかしこちらではそこまで気合い入れて参加する人多分いない。もっとラフに来ている。

ロンドンに来たばかりの頃はこのギャップに驚いていたし、自分の好きな曲の演奏中に聞こえてくる周囲の会話音を不快に感じていたが今は慣れた。日本に帰国してライブに行くことがあれば逆にギャップを感じると思う。

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