地底の星屑

制作余話#1「地底の星屑」編

小説を執筆していて「作品を完結させてそれで終わりじゃ、自分に残る物がないな」と最近ふと思いまして……。
あくまで自分用のメモ、あるいは雑記になりますが、ここに完結した作品の裏話や執筆中の気持ち等々を「制作余話」として徒然と記していければと思います。

※ご注意※
がっつりネタバレしていくので、作品の方を先に目を通して頂けると嬉しいです。

記念すべき第1回は地底の星屑編。noteとカクヨムの両方に載せている作品なので好きな方で読んでいただければと思います。


この作品、2000字程度でものすっごい短いです。なのであまり語ることはありません。初回なのに単発の掌編作品を選んだ私が間抜けですが、雑記なのでそのへんは気にしないってことで。

きっかけ

そもそもこの作品を書こうと思ったきっかけは現在カクヨム(こちらから)にて執筆中の2作品にあります。
1つは「桃花詩記」という今後は字数的に10万字近くまでいきそうな長編作品、2つ目は「しずかさや」という1話完結式の短編集(にしていく予定)です。

どちらも執筆にあたっては同じ舞台で1つの物語をつらつらと進めていくことになります。したがって一旦行き詰るとしばらく更新が止まりっぱなしになります。数少ない読者様が離れる一因になりますし、私としても書く意欲があるのに話が進められなくてフラストレーションが溜まります。
そして、こういう時に限って新しい話のアイディアが浮かぶもので、ますます泥沼にはまります。あんな話書いてみたいな……こんな話は面白そうだな……でもこっちを書かないと……。長い作品を書いている人はよくなるんじゃないでしょうか(私は中編レベルでもなってる飽き性ですが)。

要するにそんな状況になったので開き直って息抜きがてら書いた作品です。
それが端的に表れているのがテーマとなったあの言葉なのです。

リスカルエンデ・ポーネグリファ

この言葉を目にした方は「何のこっちゃ?」と困惑するかと思います。当たり前です。意味のない言葉ですから。
もう少し詳しく述べると「適当に造語を作ってそこから物語を広げる」という試みの中で生まれた言葉です。さらに具体的に言うならば、昼寝してシャワーを浴びている中で、脳内妄想ストーリーに登場させる人物の名を考えている時に浮かんだ言葉です。

「リスカルエンデ」は小難しい字面をイメージしてぱっと浮かんだ造語です。「ポーネグリファ」については某海賊漫画に登場する「ポーネグリフ」という遺物を思い浮かべる方もいるかと思います。その辺りも作中の登場人物に触れさせようかと思いましたが、物語の筋に関係ないので省きました。さっくり言うとあれが元になっています。
あの漫画に限らず、現代の創作が古代の娯楽資料扱いになって、用語が一般名詞として使われる程度に未来の世界という裏設定があるので、悪びれずに採用しています。漫画脳ですみません。
作中に近未来感がないのは一周回ってアナログも評価されだしているからです(詭弁)。
まぁ星の地底奥深くを見に行ってやろうぜ!というクレイジーなプロジェクトが立案(しかも2回)されるくらい、技術自体は発展した未来だということを補完していただければと思います。

話を戻しますが、「リスカルエンデ・ポーネグリファ」が浮かんだ時、動物の学名のようだと感じました。
そこから着想が始まって……

何か動物の名前→爬虫類っぽい→蛇?→もう少し壮大な感じ→じゃあ竜で→ポーネグリフって石だよね→体が石でできた竜

という具合に連想して設定ができました。これが起点となって物語が固まっていきます。

登場人物について

この物語には2人の登場人物が主となっています。
まずは「僕」という語り手、彼には兄がいてその娘(姪にあたる)の子守りをしています。
次に「僕」の姪である幼女、「リスカルエンデ・ポーネグリファ」について健気に語っています。その中で垣間見せる想像力と、生まれる前の前の記憶(母親に宿る前の記憶)を話す姿が神秘的です。

「リスカルエンデ・ポーネグリファ」をどんな人に語らせるか、これにはいくつか候補がありました。
1つは高校生くらいの女の子、もしこの子が主人公だったら将来の夢や恋を語らせる青春物のような展開を考えていました。
もう1つは研究職の大人(性別までは固めていなかった)、これだったらSFチックになっていたかと思いますが、私に地学の知識がないので諦めました。いつか実現したいですね。
そして、幼い女の子ですね。どうしてこの子に決めたのかというと、思ったより話を広げられそうなので続編の余地を残したという意図もあります。

他にはというより、これが主な理由なのですが、子どもが図鑑などから学んだことをスラスラ話す状況を想像したらぐっときたからです。
子どもの口から専門用語が飛びだして「どこでそんなことを?」とびっくりした経験はありませんか?
子どもは自分が好きなことは一生懸命に学びますし、こちらからそれについて尋ねると目を輝かせて説明してくれます。このシチュエーションが「リスカルエンデ・ポーネグリファ」を語らせるのにしっくりきたのです。
ここまで固まったらあとはすんなり決まりました。聞き手兼語り役の「僕」とは叔父と姪という関係性を与えて、そこからどうして彼は姪を預かっているのかという所へ話を膨らませていきました。

物語の背景

上で述べた流れで執筆を進めた結果、作中には登場していませんが「僕」の兄(幼女の父親)がこの作品の背景に深く関わるようになりました。父親がどうしているかは以下の点を作中から読み取れば何となく察しがつくと思います。

・「兄は勉強熱心な人だった」と過去形であること。
・女の子は地学の図鑑を読んでいた節がある。
・「僕」は地底探査プロジェクトに関わっている。
・女の子の母親は「僕」に子守りをお願いしないといけない状況である。
・女の子は地底に棲むリスカルエンデ・ポーネグリファに強い思い入れがある。
・「僕」は、リスカルエンデ・ポーネグリファは命の誕生に関わっており、その逆の事象にも関係しているのではと想像している。
・女の子の「また会いたいな」の意味。
・画用紙に、竜の隣に描かれている女の子ともう1人の人物。
・最後のメールのタイトルからプロジェクトは第2次であり、過去に第1次があったことが推測できる。

私自身の描写の拙さもあって深く掘り下げられませんでしたが、これらの散りばめられたヒントから結論を導けるかと思います。

ノリと勢いだけで書き進めた短い作品ですが、色々と含みのある作品ができたと個人的には満足しています(読者に伝わるとは言っていない)。
気に入った作品に仕上がりましたし、もしかしたらリスカルエンデ・ポーネグリファは別の作品で登場するかもしれません。その時にはまた「ヘンテコな言葉だなぁ」と嘲笑ってください。

「あまり語ることはない」と言いつつ、作品より裏話の方が字数が多くなってしまいました。書き留めておきたいことは大体記せたので、この辺で終わっておきたいと思います。
また別の作品でお会いしましょう。ここまで読んでいただきありがとうございました。

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