夢日記

 目が開かない朝。瞼は上下が癒着しているみたいで、切開する必要がある。
頭の中では夢の延長線で陽気なお兄さんが海を漂流した体験談を続けている。
沖に流されて50分ほど経ったところで友人と逸れ、小さな灯台を見つけたと語る。これは話しのオチまで折り返した、と思う。
 上の階の人がトイレを流した音がする。朝だ。起きなければいけない。分かっているけど私はお兄さんにお節介を言いたい。クロールよりも平泳ぎした方が体力を温存出来ると。いや、背泳ぎの方が溺れないんだっけ。
 いい加減起きなきゃ。でも今日は月曜だけど予定が無い。いや、それでも不機嫌な足音と共に母が階段を登ってきて、早くしろと怒られる。それに慌ただしいリビングのソファでゴロゴロしながら、出掛けて行くみんなを見送るのも優雅じゃないか。だからひとまず起きて一階に行かなくては。
 これも夢だ。夢なのか錯覚なのか分からないけど、私は一人暮らしだし、母はもうこの世に居ない。実家はあの頃とは違う。みんな居ない。
瞼が開く。

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