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応援したくなる
年に2回ほど、日曜日の高速道路を一人、車で走る。
一人の時間をもらい、日帰りで帰ってくるには、日曜日の昼の試合を観に行くしかない。
この日、私が向かった先は、豊田スタジアム。
臨時駐車場に車をとめて、スタジアム直行のバスに乗り込む。
家族連れやレプリカユニフォームを来た人もいて、だんだん気分が高まる。ちなみに私は普段着で向かう。
バスから降りると、スタジアムの大きさに圧倒される。
チケットを渡し、観客席から見たグラウンドの緑が最高に眩しかった。天気も良好。
チケットに書かれた番号を見ながら指定席を探す。
この日は、奮発してSS席。
ベンチの選手や監督も間近で見える。
見下ろしたすぐそこに、選手の入退場のゲートがあった。
たくさんの観客が入り、お互いのチームの応援合戦が始まる。
選手紹介が、電工掲示板で行われ、選手入場。
会場のボルテージも上がる。
名古屋グランパス 対 サンフレッチェ広島
私の忘れられない試合になった。
この時、サンフレッチェ広島の監督は、森保監督。
間近で躍動する選手たちに、ボールの風を感じられそうな迫力は、魅力いっぱいだった。
でも、私のこの試合のお目当ては、選手ではなく、森保監督。
かっこいいし、ベンチでの監督の動きを見てみたかったのである。
とは言うものの、やっぱりゲームを観るのも楽しい。
豪快なゴールや、おしゃれなパスも素敵だけど、会場に行くことでしか感じられない空気が好きだ。
テレビ画面に映らないゴールキーパーの動きや、ボールが出てくるかわからないのに走り続けるサイドバック。
アディショナルタイムに、必死な表情で懸命に走る選手たちに、「がんばれ!」と心から応援したくなる。
この日も、そんなサッカーの息づかいに浸っていたのだけれど、思わぬ時に、私にとって忘れられない瞬間がやってきた。
前半が終わって、選手がゲートに退場していく。
私の席はゲートの斜め上らへん。選手の顔もよく見える。
選手たちがゲートにさしかかった時、観客が、次々と選手の名前を叫びだした。
名前を呼ばれても、何食わぬ顔で帰っていく選手もいれば、一回だけ大きく手を振る選手もいた。
別にそれでいいと思う。疲れているし、ピッチを走り回る姿を見れるだけで、観客は幸せなのだから。
でも、一人、声がする方を見つけては、手を振り続ける選手がいた。
名前を呼ばれる回数もダントツに多かった。
あちこちから、「寿人~」と叫び声が、あがっていた。
呼ばれる度に手を振っていた。最後までゲート前にいてくれていた。
私の横に座っている人が、「寿人~」と叫んだとき、こちらに顔を向けて、手を振ってくれた。
横の人に手を振ったのだけれど、私と目があった気がした。
ドキドキした。
サンフレッチェ広島のエースで、日本代表にも選ばれてるスター選手が、こんなにも観客を大切にしてくれている。
しかも、そんな優しい目と、私の目があった気がしたのだ。
もう、応援しない理由がない。ファンにならない理由がない。
後半戦は、ずっと、佐藤寿人選手ばかりを追いかけて見ていた。
帰ってからは、サッカーの話になるたびに、この日の出来事をみんなに話した。
去年、引退をされたと聞き、心のなかで「ありがとうございます」とお礼をいいました。
忘れられない試合でした。忘れられない選手でした。
観客の心をつかむ選手でした。
佐藤寿人選手のおかげで、またサッカーを見るのが好きになりました。
ありがとうございます。
森保監督が好きだと書きながら、佐藤寿人選手のことばかりになってしまいました。
ちゃんと、今でも好きです。
日本代表、応援しています。
それから、名古屋グランパスのホームゲームなのに、サンフレッチェ広島側の話ばかりになってしまったので、スタジアムの写真を貼っておきます。
って、豊田スタジアムの写真が見当たりません。
なので、もう一つのホームスタジアムの瑞穂陸上競技場の写真です。
名古屋グランパスも好きなチームです。
また、サッカーを観に行きたいです。
追記://この試合の正確な年月日を忘れてしまいました。おそらく2014~2016シーズンの1試合だったと思います。申し訳ございません。
そして、佐藤寿人選手は、引退されていますが、当時の記憶ということで、選手と記させて頂きました。