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初めて同人誌作った記録

こんにちは。
今回はじめてサークル側で春コミに出たため、本を作ることを決めてからの備忘録をここに残しておこうと思います。


さて、世の中には同人誌初心者向けの記事やポストがたくさん溢れていますね。
よし!本を作ろう!と思った時にそういうものを私もたくさん読んだのですが、それがどれくらい実用的なのか?というのは実際に本を作った初心者しかわからないものです。
そこで、実際に作ってみて「これは本当だな!」「え!全然そんなことないじゃん!」と感じたことを本記事にまとめてみようと思います。


1.「絵が上手くなってから同人誌作る」だと同人誌はできないの?


A.そんなことないです

物心ついた時から絵を描いていて、ライフステージの変化で描いたり描かなくなったり……を繰り返していく中で、結構最近まで「絵、下手やし、同人誌は読む専かな〜」と思っていました。
が、全然出せた
2020年ごろまでは気が向いた時にしか描いてなかったし、なんならコンスタントに描くようになったのなんてここ2年くらいのことなんですけど、それなりに自分の絵のクオリティに納得できる段階になってから本作りました。
漫画のうまさとイラストのうまさって全然ベクトルが違うものなので漫画を描き始めてから何これ!全然描けん!となることはありましたが、だからといって「上手くなくても出そうよ!」みたいなのをあんまり言いすぎるのもなーと思います。
なぜなら、「初めて作った本」は特別だから。
せっかく作る初めての本なんだからそれなりに納得したクオリティで作りたいと思うのは自然なことだと思います。
「みんながとりあえず出せばいいって言うから」作って後悔するよりも、「荒削りなところはあるけど自分で納得して作った本」のが素敵な思い出になると思いませんか?
なので、そう思えるまで鍛錬してから本を作るのはアリだと思います。


2.「イベントに申し込まないと本は出ない」は本当?


A.(ほぼ)中身が完成してから申し込んで本が出た
私が本を出そうかな、と決めたきっかけは昨年10月のウェブオンリーに出たすぐ後でした。初めて漫画を描いて、これはいけそうなのでは?と思ったからです。
自ジャンル直近のイベントは3月17日の春コミ。ここまでに1冊作れたらいいなー、作れなくてもまあ通販か何かで売るかー。これくらいの温度感です。
そこから本を出していたフォロワーさんに印刷所のこととかを教えてもらったりして、実際の原稿に着手したのが11月ごろ。牛歩でいいから毎日原稿!をスローガンにちまちま描き続けました。
春コミの申し込みをしたのは1月に入ってフォロワーさんと通話していた時に
「えっまだ申し込んでないの!?満了しちゃうよ!申し込みな!」
と言われた時。その時点では8割方完成していたので流石に落とすことはないだろうということで1月中旬ごろに申し込みました。
また、前項目でも書いたことではありますが、初めて原稿を作るならば知らないこと・わからないこともたくさんあります。もし締め切りを先に決めてしまいギリギリ入稿をするとなった時、原稿終わりの回っていない頭で入稿方法を理解するのはかなり難しいです。
せっかく原稿ができたのにここでミスって嫌な思い出が残るのって残念じゃないですか?なのでやはり最初は余裕をもって作品を仕上げてゆっくり作業をしたほうが後の満足度も高いと思います。
余談ですが筆者は友人にスケジュール管理がしっかりしすぎているとよく言われています。舞台のチケットも発券日にはとりあえず一通りの入場券を揃えておきたいタイプ。なので何事も締め切りがないと進まない人は先に申し込んだほうがいいかもしれない……。


3.原稿スケジュールはどうだった?


A.アジャイル開発みたいに原稿した
一般的な漫画の書き方講座では「プロット→ネーム→コマ割り→文字入れ→下書き→線画→トーン」みたいな流れで漫画を描くことを推奨しています。
しかし、私はこの方式を一切無視して本を作りました。なぜなら、飽きるから。飽き性にこれは無理です。確かに連載漫画とかを描いている人はこれでいいのかもしれません。しかし、私は初めて同人誌を作る赤ちゃんです。
赤ちゃんなので、この話がおもろいのかおもんないのかわからん。赤ちゃんが自分の作っている漫画の最初から最後までを何周も何周もするとどうなるか。飽きます
飽きるだけならまだいい。一番怖いのは、これ、おもんないかもしれない……となって自信喪失してしまうことです。
ではこの自信喪失を回避するにはどうすれば良いのか。
このウォーターフォール開発みたいな手法を捨てればいいのです。ちなみにウォーターフォール開発とはIT系の開発手法を指す用語で、「要件定義→設計→実装→テスト→リリース」みたいに段階を踏んで開発していくことを指しています(ここはITの記事ではないので詳しいことを知りたい人はググってね)。
これを漫画に置き換えると要件定義は「どんな本作ろうかな」、設計はプロットとネーム、実装はコマ割って文字入れて線画描いてトーン、テストは校正。
ウォーターフォール開発で漫画を描いている人には全くもって意味不明かもしれませんが、私は以下のように原稿をしました。

最初の一週間
・プロットを立てる(粒度としては「1ページ毎に話がどれくらい進むかわかる程度のメモ」)

その後毎日
・クリスタのコマ割りテンプレートに番号を振り、ダイスを振って出た目のテンプレを1ページだけ原稿に読み込む
・プロットの「このページでここまで話を進める」というメモに従って1ページ分下書きをする
・下書きを元に文字入れ・線画・トーンを1ページ分進める

これを繰り返して全ページ埋まったら完成


大体1日1ページずつ完成させていきました。
これをすることで、次の展開はなんとなく決まってるけど何度も話を見返す必要がなくなり、今日書くべき1ページに集中できます。そしてなにより、毎日の進捗がとてもわかりやすい。10ページの漫画を描くとして、1ページ描けたら進捗は10%、2ページ描けたら進捗は20%です。
やっている時はまったく意識していませんでしたが、終わった後にこれアジャイル開発じゃーんと思いました。ジャイル開発とは企画を立てたあと計画設計実装テストのサイクルを細かく回してはリリースを何度も繰り返していく開発手法のことです(やはりこれも詳しいことが知りた買ったら各自ぐぐってほしい)。企画は「こんな本作りたいなー」、計画設計実装テストのサイクルは1日必ず1ページ完成させることです。もちろん最後に見直しは必須ですが。
余談ですが上で紹介した漫画におけるウォーターフォール・アジャイル的な作成手法のメリット・デメリットは実際の開発ともリンクしているような気がします。ウォーターホールは大規模な開発に向いてるが途中で方針が変わると手戻りが大量発生する→従来型の漫画制作でも連載漫画や大作の場合には向いてるけど途中でプロットから変更したいものが出てきた時に辻褄合わせが大変。アジャイル開発は手戻り前提なので修正が楽だけど全体の見通しを立てることが苦手→私がやった漫画制作だと展開変えちゃおーとなった時にも比較的簡単に直せるが長い漫画の場合は話の造り込みにアラが出てきそう(予想)。

4.どれくらい刷った?捌けた?


A.強気にならないほうがいいのはガチだが日和見する必要もない
私事ではございますが同人との出会いが文フリだったのでどうしても「文フリ 売れない」という意識が強くて……。もちろん一時創作・二次創作の違いはありますが、よし、一冊も売れないかもしれないぞー!くらいの気持ちで刷りました。
ま、売れなくても私が読みたいので別に問題ないか。目標頒布冊数1冊で出向きました。
結果としては全然捌けないということもないけど捌けすぎるということもない、なんかいい塩梅の冊数が捌けました。読みがうまかったのかもしれない。
アンケートとかは特に取っていません。意識したことといえば人より早く原稿を終え、丁寧にアナウンスをしただけです。申し込んだ日、一週間前、前日になるべく情報の過不足のないアナウンスをしただけ。
それでもちゃんと欲しい人はいる!私の本可愛いなーと自信を持っていきましょう。
ちなみにもちろん赤字です。赤字だけど1月に朗読劇全通して招待出しまくっていた身としてはもはやこれくらい誤差です。やはり必要なのは一旦金銭感覚をぶっ壊す体験(?)

結論

A.別に初心者向け記事の言う通りにしなくても本は作れる
作れました!
凡庸な結論になりますが、頼れるところはネット記事に頼って、こだわりたいところ譲れないところは自分で考えて作ったほうが絶対にいいです。
だって同人イベントは自由の国なのだから(そか)

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