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長野県白馬村出身の店主が「nodoka」で贈る | 家庭料理と心温まるひととき
西武新宿線の都立家政駅から歩いて約5分。静かな住宅街にあるおばんざい居酒屋「nodoka」で“都会の中の小さな田舎”をコンセプトに調理を手がけるのは、管理栄養士の免許を持つ篠崎夏実さんです。
キッチンから全てのお客さまの表情が見えるお店には「家庭で出てくるような温かい食事で、ほっと一息ついてもらいたい」という篠崎さんの思いが込められています。
出身地・長野県白馬村での経験から上京して感じたことまで、彼女のお店づくりの「原点」を伺いました。
■篠崎夏実(しのざき・なつみ)
東京都在住。長野県白馬村出身。学生のときの部活動の経験を経て、管理栄養士を志す。上京後、管理栄養士の免許を取得し、新卒で大学生向けの寮で食事の調理・提供、イベント企画や実施を行う。その後転職し、飲食店で働きながら店主としてnodokaを運営する。
都会の中の癒し、nodokaのはじまり
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都立家政駅の北口から商店街に向かい、途中で左に曲がると、そこにnodokaはあります。
長野県原産のお米や野菜を使った食事は、まるで家庭で作られたような温かみを感じます。ふらっと寄って、ふらっとおしゃべりしながら、おいしいごはんを食べる。それができる空間がここ、nodokaです。
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「学生のときに体調を崩してから、食事の大切さを実感していました。そのとき、母を中心に家族が献身的にサポートしてくれたこともあり、私もいつかは食で誰かを支えたいと考えることがありました。その後管理栄養士の免許を取得し、新卒では大学生向けの寮で食事の調理や提供を行っていました」
昔から食に興味があり、調理の仕事をするうちに、いつかは自分でお店を持ちたいとぼんやり考えるようになった篠崎さん。夢が実現したきっかけは、都立家政で友人と食事をしたことでした。
「都立家政にある飲食店でごはんを食べているときに、今nodokaの場所を貸してくれているオーナーに偶然出会いました。食に興味がありいつか自分のお店を持ちたいと思っているという話を打ち明けました。
するとその方が場所を貸すからぜひやってみないかと声をかけてくれたんです。ここでお店を開けるかもというわくわくと同時に、本当にできるのかという怖さもありました。自分の腕にすごく自信がある訳でもなかったからです。
ただ何度か都立家政に足を運ぶ中で気づいたことがありました。それは近隣に住んでいる人たちの人柄や地域としての温かみがどこか地元・白馬に通じているということです。お客さまとしての来てくれる姿が何だかイメージできたような気がしたんです。場所がある、支えてくれる人や応援してくれる人がいる。このチャンスに飛び込むことを決めました」
こだわりは「心地いい交流を育む空間」づくり
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空間づくり、メニューの企画、調理、提供、接客まで、お店のすべてに携わる篠崎さん。その中でもnodokaをどんな空間にしたいのかについては、とくにじっくりと向き合い、考え続けてきました。
「nodokaのコンセプトは“都会の中の小さな田舎”です。1人でただ黙々と食事するのではなく、誰かと話しながら食事の時間を楽しんでもらえる空間であることを大切にしています。
そういう空間で食べたごはんって、染み込み方が違うんです。まるで家のような雰囲気で、お客さまに『帰ってきた』と思ってもらえるような空間を作りたかったんです」
そのためにnodokaでどんな食事を提供するべきかについても、試行錯誤を重ねてきました。
「実家で出てくるような温かいごはんを提供したい。思い浮かぶのが、やっぱり地元・長野県の白馬村で食べてきたごはんです。私は白馬が大好きなんですよね。だから私にとっての温かい場所って、白馬のことで。私が身に染みて感じている長野や白馬のいいところを、nodokaにぎゅっと詰め込みたいと考えていました」
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作り手が見える食材を使った料理や会話が生まれるための空間としての温かさをぎゅっと詰め込んだのがnodokaです。その空間であり続けるために、心がけていることがあるといいます。
「出身地やnodokaを知ったきっかけみたいに、お客さまとたわいもない話をすることがたくさんあるんです。
お客さまはごはんを食べにきているのはもちろんなんですけど、話すためにもきてくれているのかなと思っていて。だからこそお店ではいっぱい会話するようにしています。
またお客さま同士が、nodokaで初めて出会って初めて話した場面に遭遇することもあります。『ごはんを一緒に食べる時間』を過ごすということを大事にしているからこそ、すごく嬉しいと感じる瞬間ですね」
白馬の風景と一杯のうまみ
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近隣住民だけではなく、遠くからも来てくれる人がいるのはなぜなんでしょう。それは、篠崎さんに「白馬でとれたおいしいものを、みんなにも食べてほしい」という思いがあるからかもしれません。
「白馬村の人口は8000人ほどで、長野駅からは特急バスで約1時間ほどかかります。1998年の冬季オリンピックで使用されたスキーのジャンプ台があり、ウインタースポーツが盛んな地域です。
スキーやスノーボードをするために、毎年国内外からたくさんの方が白馬を訪れています。でも、白馬の魅力は冬だけじゃないんです。
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春に咲き誇る満開の桜。夏の猛々しい白馬岳。秋の風に揺れ動く稲穂。そして何より空気がきれいです。
息を吸って吐く。いつも息をしているはずなのに、息をするってこういうことだったなって改めて気づかされるんです。
きゅっと縮こまっていたものを、ぱっと開くような感覚です。白馬に行ったことがない人に白馬を紹介するときには、深呼吸できる場所だからぜひ来てねってよく言っています」
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広い土地や気候を生かしたビールの生産も盛んなので、nodokaでは白馬で作られたクラフトビールを提供しています。
「いつも雄大な自然と隣り合わせで、自然を身近に感じて育ってきました。nodokaでも白馬の魅力を伝えたいと思い、白馬の広大な土地と環境を生かして醸造したクラフトビールを提供しています。
知り合いを介して、ビールの醸造所を運営している方と出会う機会に恵まれました。その方に東京でお店を始めようと思っていると相談すると、私のことをすごく応援してくれました。そしてぜひnodokaでビールを出してほしいと言ってくれたんですよね」
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クラフトビールと共に並ぶ、ハードサイダーも気になります。名前に「サイダー」とあるのでお酒ではないのかなと思いきや、どうやられっきとしたお酒だそうです。
「ハードサイダーとは、りんごを使ったお酒のことを指します。じわじわと認知度が上がってきているのですが、クラフトビールほどはまだ知られていないかもしれません。そのため、どれだけnodokaで注文が入るかは未知でした。
でもいざ並べてみると、注文してくれるお客さまは一定数いらっしゃって。ハードサイダーって飲んだことなかったけど、こんなにすっきりした味わいでおいしいねって飲んでくださるんですよね。
白馬の魅力を伝えられた気がしてすごく嬉しかったんです。私もより詳しく魅力を伝えるために、ハードサイダーについて勉強しています。生産者の思いを伝えられるような努力をしていきたいと、ますます感じるようになりました」
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「お店で提供するうえでは、作っている人の顔が見えることも大切にしています」と話してくれた篠崎さん。看板メニューであるおにぎりに使っているお米は、実は彼女の父が作ったものなのだそう。
「父が、家族が、お米を作っている姿を幼い頃から見てきました。お米ができるまでの工夫や苦労、背景に潜む気遣いなど、全部を身をもって体験してきました。
だからnodokaでは絶対にそのお米を使った食事を提供したかったんです。おにぎりを注文してくれるお客さまはたくさんいます。おいしいと言って食べてくださる姿を見ると、白馬のお米があるからこそだと、私もとても幸せな気持ちになります。
いつも2〜3種類ほどのおにぎりをメニューに出していて、全部食べたいと制覇してくださる方もいるのがすごく嬉しいです」
白馬の味は私のルーツ
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長野県白馬村は、篠崎さんにとってかけがえのない存在であることがひしひしと伝わってきます。
「nodokaでは、私が『おいしい』と嘘偽りなく感じたものを提供しています。友達から『夏実らしいラインナップだね』と言ってもらえることが多いのも、私が好きなものや届けたいもの、何より私がおいしいと感じているものを提供しているからだと思います。
温かいごはんを食べて、ふーっと一息ついて、おいしいって思いながら深呼吸できるような空間を、nodokaで作り続けていきたいです」
地元・長野県白馬が大好きで、その魅力と自分がおいしいと感じたものを提供したいと語ってくれた篠崎さん。篠崎さんのやわらかい人柄もあり、nodokaには日々お客さまが通っています。
お客さまからはふらっと来てふらっと話せることが居心地が良いとの声をいただいています。みなさまもnodokaでのどかなひとときを、ぜひ過ごしてみてください。
■nodoka
Instagram:https://www.instagram.com/obanzai.nodoka/
住所:東京都中野区鷺宮3-7-1
営業時間:毎週土・日・月曜日 / 18:00〜23:00 (L.O. 22:30)
“都会の中の小さな田舎”をコンセプトに、長野県の食材を使った家庭料理を提供しています。営業日時はInstagramでご確認を。DMにてご予約も承っています。