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東北大生セレクト!新入生に読んでほしい本たち
東北大学への入学が決まったみなさん、おめでとうございます。
4月からの大学生活に向けて期待が高まっているのではないでしょうか。
東北大学には学生向けに様々な支援が用意されていますが、その中から学生が利用できる資源を1つご紹介します。「本を通じたコミュニケーション」をコンセプトとしたコワーキングスペース「青葉山ガレージ」です。ここには起業を目指すのに役立つ蔵書が多数あり、東北大学生は平日9:00-17:00に自由に出入りして読書・作業することができます。今回は、この蔵書の中から新入生にぜひ読んでほしい本を選びご紹介します。
よく高校までの勉強と大学の学びは違うと言われます。高校まではすでに正しいだろうとされている知識を一方的に教えられ、正解を覚える学びが中心だったと思います。一方で大学では、抽象的な問いを自身でかみ砕き、必要なことを自分で調べ、自分なりの解答をつくっていく学びをします。
起業に興味のあるみなさん。起業する上で大事な思考・実行力と研究する上で大事な思考・実行力はかなり共通点が多いです。まずは大学の学びを体得してほしいです。さらに、今回は課題を見つける、アイデアをつくる、他者に伝えるのに参考になる著書も挙げました。
では、学びの大きな転換点に立つ皆さん向けに大学入学の準備をするこの期間にぜひ手に取ってほしい本をご紹介します。
どれも大学生の内に読んでほしい名著です。気になった本から開いてみてください。
教養の書
教養とは何か?を考える本です。口語調で書かれていて、たくさん映画の話が出てくるなど親しみがもてて読みやすい1冊です。
教養とは、知識+α の部分。知識があるだけではだめで、それを構造化できること、社会的な尺度の中に自分を捉え直せることが重要です。
高校生から大学に入学して間もない学生向けに書かれており、この本を読めば大学での学びについてイメージがつきやすくなると思います。研究の世界に入りつつある学部3年生やどっぷり学問している院生も読む価値が大いにあります!
個人的には高校の漢字テスト以来に「闊達」「敷衍」と出会えたのが感動しました。
勉強の哲学
「勉強=ノリが悪くなること」「言語によって人は他者に乗っ取られている」などモノの見方が面白く、学ぶことについての視野を広げたいと思っている方におすすめしたい1冊です。
同じ日常生活であっても知らず知らずのうちに体に染みついた制限を外すことができれば、まだまだ考えられることはたくさんあるのだ!ということを教えてくれる本です。
2020年6月30日にまたここで会おう
この本は2012年に東京大学にて29歳以下限定で行われた講義を文字起こししたものです。
奴隷でも、猿でもなく人間になる。自分で思考し自分で決断する。そのために思考の武器として学問をし教養を身につける。私たち若者は世界を変えることができる。
いわゆる「日本は終わり。海外に行け!」といった思想には反対で、若者が世の中を変えると信じ、そんな人々を育てたいといった思いが伝わってくる内容でした。私もよく「若者が頑張っても高齢化社会じゃどうせ変わらんやろ」と思ってしまいますが、中でバチバチに反論されてるので同じように日本に悲観的な人には一度読んでみてほしい1冊です。
「役に立たない研究」の未来
この本では一見「役に立たない」と思われてしまう研究の大切さについて述べられています。
研究に関する申請を行っていると「この研究がいかに社会に役に立つか」をアピールすることを強制されているように感じることが多々あります。「『役に立つ』という指標だけじゃなくて『面白い』とかそういう視点で研究を見れたら/見てもらえたらいいんじゃない?じゃあなんでそれが今できてないんだろう?どうしたらいいんだろう?」ってこととかが議論されているので、ご興味のある方はぜひ読んでみてください〜🍀
解像度を上げる
東京大学 FoundX ディレクターの馬田隆明さんの著書です。
研究においてもビジネスにおいても、どう課題を設定しどう解決するかを深く核心的に思考することが求められます。
解像度=物事への理解度 / 表現の精密さ / 思考の精密さ を高めるために、深さ、広さ、構造、時間の4つの視点で思考、行動する必要があると解説されています。
中でも「深さ」は基本的に足りないので最も取り組むべきだそうです。
1~3章では解像度を上げるということが具体例を用いながら説明されており、4~8章ではビジネスにおける解像度の上げ方が説明されています。
ビジネスだけでなく、研究や普段のサークル / 部活動などでもつかえるので、1~3章だけでも読んでみてほしいです!
馬田さん本人が「解像度を上げる」の概要を解説したブログ記事もあるのでそちらもぜひ。
「原因と結果」の経済学
データから事実を語れるようになる1冊です。
世間には、「原因と結果」「相関がある」がごちゃまぜに、誤って使われている主張があります。大学生ならそれを見抜き判断できるようになりましょう。
「子どもに朝食をとらせると学力が上がる」というのは正しいのでしょうか。子どもに朝食をとらせると学力が上がるというのが因果関係、朝食をとる子どもは学力が高いというのが相関関係です。
この本では、因果推論の考え方と3つのチェック項目、①まったくの偶然ではないか、②第3の変数は存在していないか、③逆の因果関係は存在していないか、を学ぶことができます。
また、どうやったら因果関係を確かめられるかも丁寧に解説してありますので、社会科学系の学生には統計学を学ぶ前にぜひ読んでほしいです。
センスは知識からはじまる
アイデアの出し方を知りたい方に読んでほしい1冊です。
実はアイデアは天才が突然思いつくものではなく、誰かが実行した要素の新しい組み合わせにすぎません。
この本は、あのくまモンを生み出したクリエイティブディレクターの著書です。センスのいい人ってどんな人でしょうか?著者曰く、センスは先天的なものではなく後天的に身につけた知識に基づくもの。
これまで評価されてきた事例をどういう思考で作ったかを具体例に挙げながらセンスとは何かを説明しています。知識を効率よく身につけるために①王道を探す、②最新の流行を見る、③共通項を考えるの3ステップが紹介されていて、この文章を読んだ5秒後には行動を起こせます。もう「自分にはセンスがないから」という言葉は通用しません。
この他にもアイデアの発想法が知りたい方はこちらのサイトも参考にしてみてください。
観察の練習
1枚の写真、そこにある気づき、が繰り返される本です。
大学生には与えられた課題に答える能力だけでなく、課題を発見する能力が求められます。
好きなページから見られるので、通勤通学、寝る前の数ページなどにおすすめです。
日々の生活にある産物、先入観、誰かの工夫などに気づく練習になります。気づきのページでは、文字がヘンテコな部分があるのでそこにも注目しながら読みたい1冊です。
日本語の作文技術
「読む側にとって分かりやすい文章を書く」方法について書かれた書籍です。
大学生活において、レポート作成、論文執筆、サークル広報文作成など文章を書く力は必須です。
上手な文章を書くには才能が必要だが、分かりやすい文章は誰にでも書ける、というのが作者の考え方です。かなり具体的に「分かりやすい文章」を書く方法について解説されており、修飾表現、句読点、漢字とカナの使い分け、助詞の使い方、段落、リズムの良い文などが扱われています。
個人的には「句読点の打ち方」のパートがとても面白かったです。句点ってこうやって打てばいいんだ・・と思わされました。
社会に出ると文章を書く機会も増えてきます。何気なく書いている自分の文章を見つめ直すために、この本を読んでみてはいかがでしょうか。
The Non-Designer’s Design Book
見やすい、伝わりやすいデザインについて学べる1冊です。
大学生活にてプレゼンやチラシ作成の機会は多くあります。そうしたときにうまくできるのはセンスではなくスキル!東北大学附属図書館内にも蔵書があるので参考にしてみてください。
デザインの4原則である近接、整列、反復、コントラストをもとに、具体的なデザインの改善を示してくれます。
名刺、フライヤー、Webページ、メニュー表......具体例は見切れないほどたくさん!改善案も複数用意されているので、文章を読まなくても直感的に「良いデザイン」が分かります。
文字や図表の配置、色の選び方、書体の選び方に自信がない人は1度本をめくってみてください。
最後に
東北大学生活では、
など多くの読書機会が待ち受けています。
ぜひ時間がある学生のうちに「この棚の著書は読破した」という経験を積んでください。
本日紹介した著書がみなさんにとって良い読書・思考体験をもたらすことを願っています。
なお、青葉山ガレージの蔵書リストは、東北大生限定のオンラインコミュニティ「Garage members」内にて公開しています。
関心のある方はこちらからご登録ください。