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いる

雨が急に大降りになった日の翌日、自室を掃除していたら、よこっと動くハエトリグモを床の隅に発見。一瞬の躊躇の後、すぐに出て行くであろうという結論に達し、放置を即断。本蜘蛛には「すぐに庭にでていくんだよ」といい含めて、処理完了。居ないものとして過ごす。

いったいどうして入ってきたのかは気になる。雨が降っていたので、「乾いたところ、乾いたところ」と探して入ってきたのだろうか。それとも自らの意思、主に食欲によって探求の末に我が部屋を発見し、「This is the land」と思って定住の意思固く移住してきたのだろうか。後者だと困る。後者の場合、彼女の「ここが約束の地」と思った理由が困る。ハエトリグモとの同居も落ち着かないが、彼女の食物との同居も避けたい。

とにかく、そのうち居なくなるはず。と思い放っておいたのがだ、翌日も鼓の稽古をしているとひょこっと現れてぴょこぴょこと眼の前をあるきまっる。うーんまだいたか。明日にはでていくんだよ、といい含めて放置して稽古を行う。まあせっかく居るので、いつものアルバイト(部屋の中の未許可の同居生物を食べる)で大いに食事をしてほしい。と励ます。
まあすぐ居なくなるだろう、と思っていたのだけれども、その翌日も鼓の稽古を始めると、タンスの影からひょこっと現れる。うーん。

すでに3日。暫定的に「アダンソン子」と名付ける(メスだから)。

アダ子は翌日も鼓を打とうかのうと思って調整を始めると、ゴミ箱の向こうからひょっこり現れる。まだ居たのか。早く庭に行きなさい。若干厳し目に言う。が、私は地球上のあらゆる生物に侮られるという才能の持ち主なので、いつも通り無視されてしまう。
気になるのはアダ子がこの部屋に留まる理由。でられないのならいいけれど、「約束の地」状態だったら困るな。
鼓を打つと現れるアダ子。鼓の振動がまさか彼女の食欲を刺激するのだろうか。それとも振動が伝わりすぎて「すわ!」となってでてきてしまうのだろうか。

早く庭にでていって欲しい。落ち着かないから。
前々から色々な生き物に「庭にいろ」と言っているが、まあ庭に居るなら別にいいかと割合思っている。前から色々言っている鳩だって庭で大人しくしていれば別にそれほど邪険にするつもりもなし。ただ鳩は行儀が悪いので、大人しくしていることを約束して欲しいとは思う。(庭を汚さず木々を傷めないこと)

以前かなり昔だけれど、海外のドキュメンタリーで一般家庭の住宅内にいつの間にか住み着いている昆虫その他の種類の数というのを紹介していて、まあ、人間が見えていないだけで、わんさかいる。というレポートをしていた。なので、多分我が家にもいっぱいいる。アダ子よ、そやつらを殲滅せよ。と心の中で檄を飛ばし、静かに放置。

翌日も鼓を取り出そうとすると、なんとこの日は鼓のケースの中にアダ子発見。好きだな君は鼓が。そこで寝ていてはいけない。とケースから追放。暗いところにいたい性格なのだろうか。物陰にいつもはいるようだ。そして、鼓を練習するとひょっこりでてくる。アダ子はちゃんとこの部屋で生活が成り立っているのだろうか。気が揉める。成り立っていても嫌だし(餌方面で)、成り立っていないのならば早々に退去させてやりたい。両方の意味で気が揉めるので、やはり早く庭に出て欲しい。

と幾日かアダ子と同居していたのだが、ここ数日見かけない。無事庭にでられたのならいいのだれど。


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