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帰りに舞台

仕事を午前中で終わりにして、午後国立能楽堂へ。舞台を見に。このところあまり舞台を見に行っていなかったのを反省して、なるべく時間を作ってみに行こうと思っているところ。でも、いつもチケットをうまく取れなくて、今回も行ける日を買ったという感じ。

この日の番組は狂言、和泉流 「雷」。お能は観世流「善知鳥」

「雷」の舞台が始まると、囃子方登場。あ、S先生!笛のS先生が登場したので、喜ぶ。今月はS先生の自主公演会もいくのだ。S先生の月。(のわりに、あ!S先生とか驚いている。事前にだれが出るか確認しない癖健在)

さて、「雷」は楽しいおめでたい気分の狂言。
京都から藪医者が「京都はいいお医者さんがいっぱいいるから仕事がないよ。そうだ東国へ行こう」とそうだ京都行こうの逆(でもないか)バージョンで旅立ちます。
そして旅をしていて広い野原へ到着。「これが武蔵野ってやつかなあ」なんて言っていると急に空が暗くなり、雷が鳴り出します。
しばらく激しい落雷に耐えていたら、なんと雷様本体がおっこちてきてしまいます。
おっこちた雷様は落ちた時腰を打ったので、藪医者を見つけて医者だと聞くと、直して欲しい、治さないと掴み殺す!と脅します。

人間用だからだめ。と断るも断れるわけがなく、治療開始。まずは「高いところから落ちてきたから眩暈がするよー」という雷様へ気付け薬を。これが効いて、次は腰の治療へ。
この間のやりとりや治療の最中などが笑いを誘うところ。藪医者なのに、ちゃんと雷様を治療できてしまっている。人間相手では藪でも雷様には高評価のお医者様治療は完了してしまいます。

この後、「治療代を頂戴」というと「ちょっとぶらっとでてきただけだったから手持ちがない」という雷様。そうはいかないと言うと「じゃあ、後で眷属を大勢向かわせて落ちるので(尋ねるので=落雷)住所を教えて。」という。そんな支払い方は嫌なので、それでは代わりにと、雷様は空と大地の間は我が物だという。ならば落雷もせず雨も降りすぎず、日照りもしないように守ってください。と願いすると、それならそうしよう。と雷様が承知して天へ帰っていくという、地上の安寧を願って終わる内容。このところの天候を思うと、こんな雷様にお願いしてみたいと思う楽しく明るいめでたい終わり方の物語。

打って変わって、お能のほうは「善知鳥」。こちらはなんとも辛い話。
ある旅僧が富山の立山で出会う老人。その老人は自分の残した家族に回向を頼んで欲しい。と言い残して消える。自分が頼んだ証拠として麻の片袖を託された僧。僧が家族のところへいくと、幽霊となった猟師の男が現れる。
なぜ猟師が彷徨ってるのかといえば、猟師として殺生をしていた報いで苦しんでいるから。その殺生とは。ということで話は進んでいくのですが・・・。

その殺生も普通ではなく、善知鳥という鳥の習性を利用したもの。それがもう聞いてて苦しくなるような方法。善知鳥(うとう)は親鳥が「うとう」と鳴くと、子供は「やすかた」と答える。それを利用して、親のふりをして猟師が「うとう」というと、隠れていても子供は親が呼んでいると思って「やすかた」と答えてしまう。それを捕まえて殺す。という方法。

親が子供を慈しんで、隠していても、猟師が「うとう」というと、雛は「やすかた」とこたえてしまう。それを殺す様子を見て親は血の涙を流す。という、「もうやめてー」の様子が語られていく。とうことで、猟師は幽霊になり子供を愛しく思うが、触ることもできない。親鳥が流した血の涙が雨となって降ってくるのを避けたいので傘をかぶる・・・とか。もうやめてー2。

見所として、猟をする様子を見せる翔とか。凄惨なところだけじゃないので、見所も色々あるのだけれど。とにかく、この話がもう「やめてー」なのでそれほど嫌ではないにしても見ていると「く・・苦しい」と思う部分もあるのでした。

それにしても、また鳥の話を書いてしまった。鳥の話題の多い日記。


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