見出し画像

窓辺のちいさな植物園

少し前に2階のリビングとダイニングの家具の配置を変えた。
狭い部屋なので動かすと言ってもやることは限られる。それでもソファとダイニングテーブルを90度動かすだけで見た目は随分変わって新鮮な気持ちになる。

我が家のダイニングテーブルは三人家族にしては随分大きいのだけれど、それはこのテーブルが家族が集う場になるようにとの願いも込めたからだった。いまその思わく通り、ここは家族の食卓でもあり、息子の勉強机でもあり、夫と私がパソコンに向かう作業机となって生活の中心に鎮座している。
そのダイニングテーブルが90度動いて、いま私は腰高の窓を正面に見て座っている。

窓から緑の木々や空を眺められたらどんなに最高かなぁと思うけれど、現実はそうはいかないのでここの窓辺に観葉植物を飾ることにした。我が家は北向きに建っていて昼間でも薄暗い。それでもこの窓は外の光を受けられる貴重な場所のひとつなので、キャビネットの上いっぱいにうち中の緑を集めてきて小さな植物園をつくろうと思ったのだった。

セローム、エバーフレッシュ、アスプレニウム、パンダガジュマル、
ソホラ、クロトン飛び葉にペペロミオイデスなど。

私はこれまでは緑を枯らす専門だったのが一転。ステイホーム中に少しずつ集まってきたこの子たちは日当たりのよくない我が家にも適応してくれて、新芽をつけて若葉を伸ばしてくれる。ここに置いてあると植物との距離も近くなって、土や葉の様子にも小まめに目を配ることができる。手と目をかけるとちゃんと応えてくれるんだという成功体験が重ると、植物への愛情もどんどん深くなっていく。

朝晩の挨拶はもはや当たり前となった。
「オハヨー。」
ブラインドを開けながら、それぞれの葉っぱをちょんちょんとさわる。
伸びつつある新芽があれば「がんばって!」と言葉をかける。
水やりのタイミングを見過って葉がショボンと下がっていたら、「ごめんねぇ…、のどかわいてたよね。」と撫でさする。

ただしこの様子を家族に見つかると冷ややかな目で見られそうなので、話しかけるのは深夜や早朝、家族が居ない昼間に限定される。
これは田口トモロヲさんが演じていた「植物男子」の偏愛に近いのかも知れない。あれまたNHKでやってくれないかしら。
(いとうせいこうさんのボタニカル・ライフは積読のままでまだ読んでいない。。)

植物だけだと味気ないので、むかし訪れたカンボジアで買った仏像の置物やら、メキシコ土産で頂いた陽気なハラペーニョ人形、キャンドルなどを雑多に飾ってみたら何やら味わい深いコーナーになった。
窓の景色は望めないけれど、緑の生命あふれる賑やかな空間。
パソコンや本を読む目が疲れたとき、顔をあげてここをみるとなんだかホッとする。私の小さな植物園は今日もぬるっと見えないスピードで成長を続けている。

画像1


いいなと思ったら応援しよう!

青葉 犀子 -Saiko Aoba-
興味をもって下さり有難うございます!サポート頂けたら嬉しいです。 頂いたサポートは、執筆を勉強していく為や子供の書籍購入に使わせて頂きます。