雨やどり 月やどり
傘を持たずに突然の雨にあったなら、
濡れるのを避けるために、
軒先に逃げ込んで雨やどりをしたくなる。
しかし夜空に煌々と満月が現れて、
その妖艶な光を全身に浴びても、
軒先に逃げ込むことなどしない。
しかし満月の光を浴びると、
女の体は妖艶に反応し情欲を刺激され、
寂しい気持ちとなり、
一種の狂気をもたらすのだから、
もしいまそばに恋人がいないときは、
女は月光を浴びない方が良い。
雨傘ならぬ、月傘をさすか、
軒下に逃げ込んで、月やどりをして、
こっそり見上げるくらいにしたほうがいい。
ただしそばに恋人がいるのなら、
二人でその全身に月の明かりを浴び、
体の奥底から情欲がこみ上がり、蕩けていく。
女は男に抱きしめられて、
外からは月光、内からは男光に、
しっかりと照らされる。
女の中深くに男の精がやどり、
新しい生を月が導いてくる。
その時女の体は、
満月よりも明るく眩しく輝くだろう。
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