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嵐の隠れ場所



嵐が来て、大雨が降ってどんなに川が増水しても、
過ぎれば魚は流されず戻ってくる。

大風が吹いてどんなに樹々や草花が揺れ動いても、
青空が戻ってくれば鳥が飛び、虫の鳴き声が聴こえてくる。

魚も鳥も虫も、嵐の間はいったいどこに隠れているのだろう。

あんなに増水した川の水の底のどこかで、
あんなに激しい風にも飛ばされず野原のどこかで、
きっと静かに嵐が過ぎるのを待ち、耐え忍んでいる。

そんなことを想えば、
私たちが生きて行くなかで時折直面する問題にも、
あえてじたばたすることなく、
じっと耐えて通り過ぎるのを待つのも必要。

私に嵐のように抱かれて、
官能と快感の風雨にさらされているあなたも、
いつもの凛々しく楚々した姿はどこかに隠れ、
普段のあなたしかしらない人がもしそれを見れば、
風光明媚な景勝地も嵐の最中では様変わりするように、
その変わり方に驚かされるだろう。

だけど台風が過ぎた後の空が綺麗なように、
雨に濡れた樹々や草花が美しいように、
情事が終わって、
隠れていたあなたの凛々しさと楚々とした姿が戻り、
さらに情事に洗われて美しい姿を見せてもらえると、

お互いに抱えている日常の問題など、
たいしたことがないように想えてくる。

嵐の間隠れている場所があるのなら、
あなたと一緒に隠れていたい。

あなたの嵐もとっても凄いから、

あなたの中に、
私の大切なものを隠しておきましょう。

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