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絵画の中の女



普段見慣れたありふれた街の風景でも、
待ち合わせしているあなたの姿が見えたとたん、
そこはあなたを描いた風景画のような佇まいとなる。

無味乾燥のビルも道も、
あなたがそのキャンバスのなかにいるだけで、
印象派の画家の作品のような色彩となり、
私の目をなごませて、
あなたの姿がしだいに大きくなってくるのを、
私は微笑みながら鑑賞する。

普段はただ眠るだけのただの白いベッドでも、
あなたが裸で横たわってくれたとたん、
あなたを描いたビーナス画となり、
たとえそれがビジネスホテル程度の、
色気も何も無い狭いベッドであっても、
あなたの色気ある裸体が横たわっていれば、
ルネッサンスの絵画のような濃厚さがにじみ出て、
私も裸体になってその絵の中に入っていく前に、
ため息をつきながらしばし眺めている。

このように、
あなたは絵画の中にいる女のように、
私の視界を常に彩ってくれる。

雑踏の中にいても、
部屋の中にいても、
服を着ていても、
下着でいても、
全裸であっても、
それぞれのモデルを巧みに使い分け、
心の筆を取る私を刺激する。

そしていつも最後は、
私も股間の筆を取り、
春画の世界に入っていき、
二人ともに絵画の一枚として完成できるのだ。

美術館の絵画の中の女。
それはほとんどが私たち生まれる前の女。
それを見るたびに、
今は亡き画家たちのモデルに対する想いが伝わり、
私もあなたをそれに負けないように、
この心に綺麗に描く。

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