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ひとこと ふたこと

好きだから、
「好き」とあなたに言う。

でもそれだけではこの想い伝えきれず、
「大好き」ともう一度言う。

しかしそれでもまだ物足りず、
「好き」「大好き」と何度も繰り返して言う。

されど、繰り返せば繰り返すほど、
この想いを伝える言葉としては薄く感じてしまい、

ついには、私は無言になる。

無言になって、
あなたの唇を奪い、
あなたの体を抱いて、
あなたの乱れる姿を見つめている。

でもどうしても時々伝えたくなって、
交わったままあなたの耳元に唇を近づけるのに、
どうしてか、
「いやらしい」
「エッチ」
と意地悪な言葉をひとことふたこと言ってしまう。

でもすぐにそんな余裕などなくなって、
あなたの上で、あるいはあなたの後ろで、
はたまたあなたの下で、
私は息を弾ませる吐息だけを出しながら、
最後の瞬間に向かって行く。

そしてあなたの中で果てて、
あなたの体に覆い被さった時、
ちょうどあなたの耳がまた唇のそばにきて、
そのときまた私は、

好きだから、
「好き」とあなたに言う。

でもそれだけではこの想い伝えきれず、
「大好き」ともう一度言う。

しかしそれでもまだ物足りず、
「好き」「大好き」と何度も繰り返して言う。

でもその時はいくらひとことふたこと繰り返しても、
その「好き」という言葉は深い情感となって、
あなたに伝えられているように思える。

「好き」とひとこと。

「大好き」とふたこと。

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