
これからとこれまで
男と女が愛し合うということは、
二人のこれからの未来を想像することでもある。
出会い愛し抱き合い体を許しあう関係となれば、
今のその関係の先は、幸福の行き先しか見えない。
その先に待ち受ける苦難、試練、挫折は、
当然あるものと理解していても、
二人でなら乗り切れると信じて疑わない。
そして歩き出した二人は、
案の定、喜怒哀楽のうねりの中、
地図のない道を歩んでいく。
そんな道の途中で、
残念ながら別れ道を選ぶ男と女も少なくない。
ただしかし、
その道程は紆余曲折があればあるほど、
乗り越えた分、成長という成果を二人にもたらしてくれる。
男と女が愛し合うということは、
これまでの歴史を共に振り返ることでもある。
まだ出会ったばかりの情熱的なキスや抱擁は、
貪りあうような性欲のぶつけ合いの始まりから、
その後に続く数々の喧嘩や仲違いとともに、
共に乗り越えた苦難や試練を思い出す。
そんな数々の共に笑い、共に泣いた歴史の先の、
今もそばにいてくれるとなら、
その関係の先は、幸福しかありえない。
これまで地図のない道が振り返ると、
そこにははっきりとした地図が描かれている。
これまでとこれから。
まだどちらが長いのかわからない。
ただふりかえるだけの「これまで」ができた二人なら、
「これから」の道のりの方が、
ずっと平穏で幸せしかないはず。