背中の恋文

あなたがあまりに素晴らしかったから、
私は果てた後も名残惜しくてあなたから離れずに、
その背中にこの腕を回している。

あなたの背中はうっすらと膜がはったように汗ばんで、
指を這わせると、文字が書けるのではと思うほど。

いっそのこと、何かを書いてみようと、
あなたの肩から背中、そしてお尻まで、
文字を書くようにこの指を広く滑らせていく。

筆圧は時々強く、
あるいは時には触れるか触れない程度に、
人差し指一本だけの時も、
五本の指全部を使う時もあって、
書道家が大きな半紙に筆を使うように、
私はあなたの背中に文字をしたためる。

そこに書いているのは、
あなたがとっても美しかったこと、
あなたを抱いてとっても気持ちよかったことなど、
そして、
あなたがとっても大好きだということを。

あなたは私の指が背中を上下左右に滑ることで、
時々くすぐったそうに身をよじらせて、
ふたたび官能のため息をつくものだから、
私はさらに嬉しくなって、
もっと素敵な文章を書きたくなる。

あなたの背中に書く恋文。
それは文字にはなっていないし、
実際に紙には残せないけれど、

あなたの心に直接伝わっているから、
それでよい。

続きをもっと書いて欲しいなら、
もっとたくさん私に抱かれなさい。