東京都知事選挙2024 分析⑥ 内海聡
はじめに
今回は、内科医の内海聡の紹介をしていきます。内海は筑波大学卒業で、「キチガイ医」を自称しています。昔は漢方を得意とし、総合病院漢方科に勤務し、2006年に牛久東洋医学クリニックを開業。同時に、勤務医として精神科・心療内科から回されてくる患者から精神科に誤診・誤処方・薬漬けといった疑問を持っており、2011年には「この世に精神医学など存在していい代物ではない」と述べ、反精神医学に傾倒しました。精神科不要論を掲げ、2013年に精神薬の断薬を目指すためのクリニックTokyo DD Clinicを開業しました(牛久東洋医学クリニックを閉院)。発達障害・知的障害の子どもの出生は親のワクチンや食生活等が原因としています。また現代医療について無駄に薬を処方するとして「医学の9割は不要」とし、ワクチンについてすべて全く効かないとの持論があり、新型コロナはマスク・ソーシャルディスタンス・自粛政策は間違いでワクチンは効果がなく副作用が甚大だと警笛を鳴らしました(※1)。
このように以前から知名度があり多くの著書があり、医学方面で独特な主張を続けている候補者ということを念頭においたうえで、選挙結果データを見ていきましょう。
集計方法
こちらを参考にしてください。
内海聡データ集
まず得票率のマップを載せ、その後社会的背景との散布図を掲載します。
得票率
奥多摩や島嶼部含め、東京全体で概ねまんべんなく得票しています。内海は多摩を含め幅広い地域での街頭演説に力を入れており、広く周知がなされたことが考えられます。その中で比較的得票率の高い地域は、港区・渋谷区・目黒区といった高級住宅街のある地域にあります。
老年人口割合
自治体間の得票率差が小さい候補ながら、その中に老年人口割合が大きい地域で得票率がやや低くなる傾向が存在します。
単独世帯割合・子育て世帯割合・実質単独世帯割合
世代の調整をしない状態で見ると、子育て世帯より単独世帯の方が得票される傾向にあります。
同世代で比較するようにしたら、実質単独世帯割合が高い地域ほど得票率が高い傾向が残って入るものの、非常に弱い直線性にとどまります。得票率の地域差の小さい候補であることを踏まえれば、ほとんど世帯種との関係性はないといってよい状態でしょう。
外国人人口割合
外国人人口割合と得票率の関係性はまったくありません。
平均年収・実質平均年収
得票率の地域差が小さい中で最も結びつきがあると考えられるのは、平均年収です。というと反現代医療のような主張をする候補であるから、年収が低いほど投票するのだろうと想像される方は多いと思いますが、データの言う所その反対で、平均年収が大きい地域ほど、得票率が高い傾向になっています。
世代を揃えても依然として実質平均年収が高い地域ほど得票率の高い傾向であり、直線性は強いです。外れ値とした千代田区、港区、渋谷区の得票率はそれぞれ1.74%、2.74%、2.64%で、この結果に概ね追従する結果です。
まとめ
奥多摩や島嶼部含め、東京全体で概ねまんべんなく得票しています。比較的得票率の高い地域は港区・渋谷区・目黒区の辺りです。得票率の地域差が小さい中で細かく見ると、老年人口割合が小さいほど得票率が大きい傾向があります。単独世帯割合が大きいほど得票率が大きい傾向ですが、世代を揃えるとほぼ傾向は消失します。外国人人口割合は無関係です。もっとも影響した社会的背景は平均年収であり、大きい地域ほど得票率が上がります。世代を揃えても、実質平均年収が大きい地域ほど得票率が高い傾向は強い直線性をもって維持されます。
注意書き
(※1)内海聡 Wikipedia
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%86%85%E6%B5%B7%E8%81%A1
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