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マヨイガ/羊文学

駅で階段を下って振り返ると、まだいた。手を振ってくれた。

なぜか無性に泣きたくなる日が今日。

ずっと布団に沈んでいたい今日も夜は長くなんかなくて、一定のリズムで朝に向かう。アナログ時計もデジタル時計も向かう方向は同じなんだと当たり前のことを思った。

言葉は先手必勝だと思う。
よく悩みは分け合うものと言うけれど、受け止める側は予定外の負荷に潰れてしまわないだろうか。
私は?

何でもいいから変わりたくて、染めたことのなかった髪を染めた。ブリーチは痛かったし、その後のカラーはもっと痛かった。
身体中に力を入れて耐えた3時間で、変わったことといえば髪の毛の色くらいだった。
黒染めスプレーをしたバイトの日、シャンプーは4回目でやっと白い泡になる。

良くないよなと思いつつ、私が死んでしまったときに後悔する人がちょっとだけいてくれたら嬉しいと考える。

人から感謝される為に生きているわけではないけれど、人を無視して生活するのは難しい。
深夜、髪を乾かすときにリビングの扉と洗面所の扉を閉めてドライヤーの音を出来る限り遮断していることをいつか誰かに気付いて欲しい。
馬鹿なことばかりする私が、こんな文章を書いていることが風の噂で広まって私の好きな人に届いて欲しい。

中高校生の頃貰った人からの手紙を読み返して悔しくなった。そんな私の下手くそな合図を汲み取ってくれて、受け取ってくれていた。

やっぱり言葉は先手必勝だと思う。
察して欲しいなんて我儘で、言葉にしないと曖昧で伝わらないことばかり。
きっと辛いことを辛いと言うことは勇気がいるけれど、どうにか受け止めるからどうか諦めないで私に届けて。

予定外の負荷に潰れてしまいそうになることがある。その時には私は言葉で伝えられるだろうか。

とりあえず私は、私が受け止めたいと思った人を存分に包み込めるクッションみたいな存在になりたい。

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