『女龍神也の呪い』H・Nの取材記述/1
※H・Nのパソコンに保存されていた文書より抜粋。
今現在、ぼくはテレビ局に勤めている。
空港で、来日した外国人に「あなたは何をしに日本に来たのか?」などと尋ね、同意が得られたら目的の旅路に同行するという内容の番組制作に携わっていたときのことだ。
番組自体の内容が明るめなこともあり、カットされたものもあるのだが、その中で興味深かったのがさるフランス人の来訪理由だった。
「イギリス人の親友が日本で亡くなった件について、調べに来ました」
そう語った彼はシャルル・P・デュホンといった。
シャルルの友は先に日本に訪れて不可解な死を遂げていたという。現場はぼくの故郷の福島県会津地方、その大沼郡金山町にある沼沢湖だった。
該当のインタビューはテレビで未放送だったが、目的地が古里ということで奇妙な縁も感じ、また、日本について詳しくないという彼から案内を頼まれたこともあってカメラの外で会話が弾み、ぼくは個人的にシャルルと連絡先を交換していた。
幸いすぐ後がゴールデンウィークだったので、実家への帰省中に暇を見て、もうこちらの旅館に宿泊して滞在していた彼と落ち合うことになった。
空港でもいくらか事情を聴いていたし、その日までにシャルルが目的のために用意した資料もメールなどで拝見させてもらっていたぼくは個人的な魅力も覚えていた。