レインボーな彼女~第二章~ 2 ふさふさ 2023年5月3日 19:36 わたしには、秘密がある。誰にも誰にも内緒なんだけど、きっと話したって誰も信じてはくれないだろう。そして証明してみなさいよとか詰め寄られたら、とてもわたしは困る。だって、見せなければいけないから。 「変わってるね」という言葉をずいぶんとまわりの人から投げかけられてきた。その度に自分はわたしっておかしいのかな、変なのかなって気持ちはロンリーだった。トモダチがいないわけじゃないし、わりと誰とでもうまくやれてるつもりでいたのに、そう思っていたのはわたしだけだったのかな。 「なんかドツボなんですけど。」ポケットの中の彼に向かって囁いてみる。彼はまどろみながら聞いてるのか聞いてないのかわからない。マイペース。彼は常に自分の好きなように生きている。時々うらやましくなる。 「ねぇ、」わたしは呆れ気味にこう言った。「今度、わたしが翔君のポケットに入ろうかな?」 あ、起きた。わたしは思わずクスクス笑う。「えええ?」大きな目をさらに大きくして彼はポケットの中から顔だけ出して「ちょちょちょちょっと待ってよ、えーと、なんだっけ?」クスクス「冗談よ。」わたしは笑う。あなたはわたしといつもいっしょにいてくれて、そうやって笑わせてくれていたらそれでいい。それだけでいい。彼の存在はそれほどまでにわたしの生きる力の糧となっている。そして彼もわたしといられてご満悦なのは十分感じている。「あのさ、体温って大切だよね。」ポケットの中から彼が小さく言ったのが聞こえた。 いいなと思ったら応援しよう! チップで応援する #小説 #イラスト #雲 #空の写真 #パンジー #ネメシア #ウンランモドキ 2