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悲劇。

シェイクスピアの「オセロ」。
彼は誇り高き国王だった。
彼には美しい王妃がいた。
ふたりは互いに心から愛し合ってしあわせに
そう、しあわせだったのに
なのに……。
臣下の裏切り。偽りの告白。
哀れ、王妃はあらぬ咎により愛する夫によって
命を奪われてしまう。
オセロ王は自分が黒人であることに
劣等感を強く感じていた。
その闇につけこまれたのだ。
悪魔は囁く。甘美な声で。偽りの言葉を。
真実をねじ曲げる。
王妃は心からオセロのことを愛していたのに。
最期の瞬間まで。
猜疑心に曇ったオセロ王の瞳には真実の愛も
うつらなかった。
お前は醜い「ニグロ」だと蔑む声、
それは自分の心の中に反響している疎外感……。
ちっぽけで卑怯者の奸計に堕ちてしまった
彼には絶望しか残らなかった。

まず、自分が自分を愛すること。
そこから始まる。

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