美しき天の使い
実は…
いま我が家には、
お蚕(かいこ)さんが、40頭いる!!!
お蚕さんは「一匹、二匹」ではなく、
「一頭、二頭」と数えるそうだ。
小さな体なのに、「一頭、二頭」とは、
なんとも秘めた大きさなのか。
お蚕さんは、
天の神がこの世にもたらした特別な生き物とも言われている。
そして、なぜ40頭もいるのかと言うと…
昨年、娘のクラス(当時小学3年)では、
暮らしと生活の学びのひとつとして、
教室でお蚕さんを飼っていた。
みんなで育て、繭になり、蛾になった。
その繭から絹糸をいただいた。
蛾はたくさん卵を産み、
それぞれが持ち帰った。
我が家でも保管していたのだか、
どうにも新しい命を育てるのはむずかしいと判断し、
この春、次の学年へと譲るべく、卵を学校へ返却した。
それなのに、
卵から生まれたお蚕さんを、
娘は意気揚々と連れて帰ってきたのだ!!
「わくわくしちゃう〜!!」と満面の笑みで。
わたしは言葉を失い、
夫とただただ顔を見合わせることしかできなかった…
当初15頭もらってきた!と言うはなしだったが、
よくよく数えてみたら、
桑の葉の裏に隠れていたお蚕さんたちが多数。
計40頭もいた!
それから桑の葉探しに奔走するのだか。夫が。
日ごとにすくすく育ち、日ごとに食べる量が増す。
わたしは娘のまえでは、平気そうな顔をしているけれど、
じつは、虫はそんなに得意ではない。
そこにいる、ということは大いに認められるし、
共存も問題ないが、
コミュニケーションまでは取れない。
でも、自然児に育てた娘は、
ダンゴムシでも、クワガタでも、クモでも、かわいい!と手にのせる。
「ママ、撫でてあげてー!」と連れてくる。
でも、この40頭のお蚕さん。
よくよくみていると、素晴らしくまっすぐな生き方で、
いつまで見ていても飽きない。
見ていても、すごい勢いで桑の葉を食べつづけているか、
じっと動きが止まっているかのどちらかしかないのだけれども、
目の前の桑を食べる、
ちょっと休憩する、
また食べる、
ちょっと休憩する、
ひたすらにそのくりかえし。
もぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐ。
じーーーーーー。
もぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐ。
じーーーーーー。
わたしもひたすらじーーーーーっと見ていると、
『このひとたち(お蚕さん)は
「将来、アイツらより立派な絹をつくるぞ」とか
「オレ、大丈夫かな。できんのかな。」とかなさそうだよね。
信頼して扉を開いて純粋な命を自ら支えている。
本当に天の使いのようだね。』
と言っていた、
わたしの尊敬するひとのことばが
何度となく、あたまをよぎる。
本当にそうだな…
それ以上でもそれ以下でもない。
いま目の前と自分。
ただそれを信頼している。
そして今日もわたしは、
じーっとお蚕さんを眺めている。