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小説【明け方の若者たち】著者:カツセマサヒコさん/現代風に言うとエモい。だけどそんな薄っぺらい言葉で終わらせたくない。

6月11日に一周年を迎えたカツセマサヒコさんのデビュー作【明け方の若者たち】についてnoteを書く。

私は去年の7月にこの本と、そしてカツセマサヒコさんに出会った。

「明け方の若者たち」という題名と表紙に惹かれたのはもちろんだが、
『「私と飲んだ方が、楽しいかもよ笑?」その16文字から始まった、沼のような5年間。』
と書かれた帯を見た時に、心撃ち抜かれた。
「読むしかない。読みたい。」
そう思って即購入。
その本が、2022年お正月に映画化されるそうだ。
なんとも待ち遠しい!!!




東京 下北沢 明大前を舞台に主人公の「こんなハズじゃなかった人生」が描かれているのだが、小説に出てくる景色とか音楽とか空気全てがまるで自分のことのように懐かしくなる。そして何故か共感してしまう。

それはきっと、人は誰しも〈こうしたかった〉とか〈ああなりたかった〉っていう気持ちを抱えながら過去を悔やんで生きているからなのかもしれない。けれど共感したのは後悔の気持ちだけじゃない。もう一つは過去を美しいと思う気持ち。後悔の過去にも幸せの絶頂期があったからこそ過去を振り返ると全てが美しく感じられるし、それがマジックアワー所以なのかもしれない。


ただ一つ、主人公の“僕”に負けたと思ったのは恋愛。一人の人を一途に、それも沼にハマってしまうくらい愛するというのは誰にでもできることじゃない。そんな人と出会えた“僕”が羨ましく思う。


“僕”の人生を自分の過去に重ねて嫉妬と共感が渦巻き、自分の未来に絶望しながらも、頭に浮かぶのはいつだって綺麗な景色だからこそ感傷に浸ってしまう。

今の状況が落ち着いたら、ぜひとも下北沢に行って“僕”や“彼女”、“尚人”や“勝ち組”を感じながら街を巡ってみたい。

そして10年後、また【明け方の若者たち】の世界に入ってみたいと思う。


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