いじわるな神様へ
会いたいけど会いたくない。透明人間になって、こっそりのぞけたらいいのに。
よりによって、わたしのお気に入りの通りに、なんであなたの分身なお店はあるんだろう。
あの通りには美味しいお店がたくさんあって、通るのも楽しいところなのに。絶対あなたに会っちゃうから、しばらく通れないじゃないか。
きっとばったり会っちゃうんだ、わたしは本当にタイミングの悪い人間だから。
あなたがお客さんを見送りに出たその瞬間に、きっとうっかり通りかかってしまう。
何でもよく見えるあなたが、気が付かないはずがない。なんでこんなことになっちゃったのかな。
ただ美味しいご飯が食べられて、あなたの笑顔が見られるなら、それで充分だったのに。
わたしだけのものになってくれることなんて、望んだ事もなかったよ。
なんでこんな形で出会ったんだろうね。
もっと普通に、別の形で出会えていたら、きっと親友になれたのに。
恋なんてつまらない関係じゃない、もっとずっと付き合っていける、そんな関係になれたはず。
こんな終わり方をするなら、あの時ドアを開けなければよかった。
あの日に戻れるなら、あのまま店の前を通り過ぎて、ただ、あそこのお店、美味しかったなあと思っていたかった。
神さま、そんなにわたしに意地悪して楽しいですか?
わたし精一杯頑張ってないですか?
どうしてこんな想いをしなきゃいけないんですか?