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日本橋兜町の tea & library bar 青淵-Ao- です。本に囲ま…

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日本橋兜町の tea & library bar 青淵-Ao- です。本に囲まれた空間でゆっくりお過ごしください。 営業時間: 15-25時

最近の記事

【書評】リジー・コリンガム(著)、松本裕(訳)『大英帝国は大食らい』(河出書房新社、2019)

書評者:田中 無知太郎 (公務員の落穂拾い)  イギリス料理は不味い、というイメージが人口に膾炙している。評者の1週間のイギリス滞在経験を思い返しても、フィッシュ&チップスを除けばお世辞にも美味いとは言えない料理カテゴリーだ。だが、もちろん本書は不味い料理を如何にイギリス人が食いまくったかという陳腐な本ではない。本書に詰まっているのは一握りの美食と、“帝国”の大食(それはもはやGluttonyと言ってもいいかもしれない)、その歴史と帰結を探る試みである。  各章は常に食事

    • 【書評】ハン・ガン(著)、斎藤真理子(訳)『ギリシャ語の時間』(晶文社、2017)

      書評者: 相田 容 (都内予備校講師)  ハン・ガン(韓江)が2011年に韓国語で発表した本作の原題は”희랍어 시간”であり、邦題と同じ意味である。作者は2016年に『菜食主義者』でブッカー賞に輝いた世界的に著名な作家だと後に知ったが、図書館でこの本を見かけた私は何も知らず、純粋にタイトルへの興味だけでこの本を手に取った。  読み始めてみるとタイトルは素直であり、市民講座でギリシャ語を教える男性と生徒の一人である女性の二人が物語の語り手だった。ではなぜギリシャ語が選ばれた

      • tea & library bar 青淵-Ao- カクテルコンセプト

        飲みものの原点としての植物そのものへ 私たちは生きているうえでさまざまな飲みものを口にする。おおくの場合、その原料となるのは植物だ。お茶ならチャの木の葉、コーヒーならコーヒーの木の種子、ワインならブドウの実、煮出した漢方薬も飲料の一種と捉えるなら植物の皮や根まで、人間が採取したり栽培したりする植物のいろいろな部分を、さまざまに加工して飲みものに変える。植物への人類の創意工夫が、ゆたかな飲料文化をもたらしてきたのだ。飲みものの歴史は、人類と植物の関係の歴史の一側面である。こうし

      【書評】リジー・コリンガム(著)、松本裕(訳)『大英帝国は大食らい』(河出書房新社、2019)