セラムン二次創作小説『金木犀の香りに包まれて』
『金木犀の香りに包まれて』
ギャラクシー・コルドロンで太陽系の皆さんとお別れをして旅立って数時間後、私たちは遂に母星へと帰ってきた。
「帰ってこられるなんて……」
キンモク星に着地した瞬間、色んな想いが込み上げてきて胸がいっぱいになり、言葉に詰まる。
「そうだな。もう帰れないと覚悟をしていたからな」
途切れた私の言葉を汲み取ってゼウスが続きを引き取ってくれた。その声は優しく、そして安堵した憂いを帯びていた。
手は私の頭を撫で、何も言わず労ってくれていて、思わず泣きそうになる。
「やっぱり母星が一番、落ち着きますね」
「かなりやられてるけどね」
「そう、これからが大変ですよ。感傷に浸っている場合では無いのです」
「……メイカー」
スターライツも戻ってこられたことで、ホッとしているみたい。
本当に、本当にここにまた戻れて、嬉しい。しかも、誰一人欠けることなく。
一度は五人とも命は尽きてしまったけれど、セーラームーンの諦めない心により全員蘇ることが出来た。
やっぱり、地球に行ってセーラームーンを頼って良かったと心から感謝しているわ。
「さてと、プリンセス?」
「なんでしょう、メイカー」
「早速ですが、再建させましょうか?」
「え?もうするの?長旅でプリンセスも疲れてると思うけど」
「ヒーラーの言う通りだよ。少し休んでからでもいいんじゃない?」
「私は大丈夫ですよ。お気遣いありがとうファイター、そしてヒーラー」
確かに長旅で疲れていた。
けれど、母星に降り立って王国を見ると、力が漲って来るのが分かった。
やっぱりこの星が私のいるべき場所で、パワーが湧いてくるのだと体で感じていた。
「では、ファイター、ヒーラーそしてメイカー。準備はいいですか?」
「はい」
私を中心として、スターライツが三角形の形に位置に着く。
キンモク・クリスタルを手に持ち、私は精神を集中させる。
スターライツも変身ブローチを手に持ち気持ちをひとつにする。
「キンモク・クリスタルパワー」
「ファイター・スターパワー」
「ヒーラー・スターパワー」
「メイカー・スターパワー」
キンモク星全体に、クリスタルの聖なる光とオーラ、そして金木犀の香りが包み込む。
心を一つにして、キンモク星全体がギャラクシアにやられる前の状態へと生まれ変わるように祈る。
とてもパワーを使うけれど、これで元に戻るなら決して苦では無いわ。
「おお、蘇っていく」
祈りに集中していて目を閉じている私は、今どんな状況かは分からない。
その事を分かっているゼウスが、実況中継をして今どんな状況なのか逐一呟いてくれている。私はそれを耳を澄ませて聞いている。
「あの頃と変わらない王国が……人々が……全て元通りだ」
彼のその一言で、やっと全てが元に戻った事、終わった事を悟る。
「ふぅ」
「良く、頑張ったな火球。スターライツも」
「元に……戻った!」
「もぅ、壊さないでよファイター」
「そうですよ。もう体力は残ってませんからね」
「本当に、全て使い果たしましたからね」
「ちょっ、ヒーラーとメイカーは兎も角、プリンセスまで……流石に私もそんな体力残ってないので、御安心下さい」
「本当か?まだまだ体力ありそうだが?」
「ゼウス様まで……私、どれだけ信用無いの?」
こうしてキンモク星は、ファイター達スターライツの力を借り、見事に再建した。勿論、ゼウスも。
これからが大変だけれど、スターライツやゼウスが着いていてくれる限り、きっと私は、キンモク星をずっと守ってゆける。そう信じているわ。
だから、太陽系の皆さんも、どうかお幸せにーーー
一方、地球ではうさぎは衛のマンションから二人で夜空を見上げていた。
*:゚+。.☆.+*✩⡱:゚🌙
「あ、流れ星☆」
「本当だ。すげぇ数だな」
「凄いねぇ~。きっと星野くん達がキンモク星に無事、辿り着いたんだよ」
「だと言いな」
「きっとそうだよ!知らせてくれたんだよ」
「キンモク星で、また幸せに暮らせたら良いな」
「うん!私たちもね♪」
「ああ、ずっと一緒にいような」
「まもちゃん♡」
「金木犀の香りも、どこからとも無くするな」
「本当だ♪キンモク星、再建出来てると良いな」
「きっと、出来ているさ!俺たちも頑張らないとな」
「うん、2人でこの星を守っていこうね♡」
「うさ、愛してる」
「私も、まもちゃん大好き」
二人はどちらともなく顔を近づけ、口付けを交わす。
流星雨が降り続く中、いつまでもいつまでも愛を確かめ合った。
金木犀の香りに包まれて、二人は永遠を誓った。
おわり