セラムン二次創作小説『その男、屈強の戦士につき(ネフまこ)』



勇人と和永はこの日、2人でオシャンティーなカフェに来ていた。

と言っても2人とも決して乗り気でこの組み合わせで来たわけではなく、寧ろとても嫌々だった。


事の発端は数日前、まことから写真付きでメールが来ていた。

その内容とは…


“何日か前からカフェでバイトを始めた。可愛い雑貨に可愛いスイーツ、そして可愛いウェイトレスの制服。可愛い物に囲まれて、大変だけど楽しい”


文章からも楽しそうなのが伝わってくるので微笑ましく応援しようと決意したのだが、コーヒーを飲みながら写真を見て驚いてしまい、口の中にあったコーヒーを盛大に吹いてしまった。


そこには制服を着たまことが写っていたのだが、誰が見ても露出度が高くとても制服には見えない。

こんな制服で接客なんて有り得ない!と心配になり、1人では行きずらく誘いやすくフットワークが軽い和永を無理やり誘ったという経緯だった。


「何で俺まで?暇じゃないんだけど?」

「こんな写真送られてきたら気になるだろ!奢るから最後まで付き合え!」

「当たり前だろ!ってか頼んでんのに偉そうだな…レイと来たかった」


和永は勇人と2人で行くのは気乗りせず、レイを誘っては見たものの美奈子と女同士でショッピングだと盛大に振られていた。


「予定入ってたんだろ?それにこういうの嫌がりそう」

「誰だって嫌だろ?まぁ美奈子とうさぎちゃんは好きそうだけど」


2人で喋ってはいるが、客は9割が女性客で勇人達は明らかに浮いていた。

だが、2人の他に男性客がいない訳では無い。

ほんの数人だが、恐らくこの露出度高めの制服目当てと思しき男性客がウェイトレスをにやけた顔で見ていた。


「ご注文の“爽やかサーモンちらし寿司”と“野菜とパストラミのオープンサンド”と“eternalソーダ”2つになります。…ってあれ?勇人と和永くんじゃん!どうしたの?」


注文をした物を運んできたのはまこと本人だった。


「どんな感じかと思って様子見に来たんだ!」

「そっか。ゆっくりしていってくれよな!」

「おう!頑張れよ、まこと!」


よく言うよ、露出度高めの制服が心配で威嚇しに来たくせに、と横で余裕の笑顔を見せる猿芝居をしている勇人を見てやれやれとため息混じりで見る和永。


去って行く後ろ姿を見ていた勇人は、生で露出度高めの制服を着たまことを見られたのが単純に嬉しくて拝んでいた。

が、他の男性客の会話が耳に入ってきてその笑顔は怒りで顔が崩れてしまった。


「ヒュー♪あの子、背が高くてスタイルいいからめっちゃエロい!」

「やっべぇ~よな!そそるわぁ~」


(…アイツら、悪霊退散してやるからな!)

「それ、俺の彼女の技な!勝手に取るなよ?」

「は?お前、読心術使える様になったのか?」

「はぁ?嫉妬でおかしくなったか?思っきり声に出して悪態ついてたぞ」

「マジか!?怒りのあまり我を忘れてた!」


心の中で悪態を着いたつもりが、全部言葉として発していたという事実に驚愕する勇人。


「アイツらまことをエロい目で見やがって、ぜってぇー許さねぇ!痺れるくらい後悔させてやる!」

「気持ちは分かるが程々にしとけよ?相手は素人なんだからな?タダでさえお前は強いんだ。俺も止めるの嫌だからな!まこっちゃんも嫌がるぞ?」

「分かってるよ!目で殺す!」

「まぁそう血走んなって。ご飯は普通にうめぇから食え!腹減りすぎてるからイライラすんだよ。それとも何か?ご無沙汰ってか?笑」

「この前やっとキス出来たやつに言われたくねぇわ!」

「俺に当たるなよ!食ったら怒りも収まるだろ」


食べ物に罪はないと言い聞かせ、食べ始めると途端に上機嫌になる。


「うっめぇ〜!流石俺のまことが選んだカフェだけあるわ」


ご飯を食べると忽ち上機嫌になる勇人を見て単純な思考回路で羨ましいと思う和永だが、食べ終わった途端、また男の顔になった勇人に引いてしまう。


さっきの男2人組が席を立ち、勇人の前に来た瞬間、殺す勢いで睨みをきかせていた。

それに気づいた男2人は、さっきまでの勢いは何処へやら、すっかり正気を失って店を後にした。


和永は2人の男が死んだのを垣間見た瞬間に立ち会い、勇人の本気度に仲間で良かったとつくづく思った。


「で?バイト辞めさせんのか?」

「あんな楽しく活き活き仕事してたら無理だな」

「だろうな。まぁ心配な己の心と戦いながら頑張って応援してやれよ!」

「他人事だと思って…」

「他人事だし仕方ないだろ笑」


その後、勇人はまことのバイトの日で自身の予定がない日は定期的に通ってはエロい目で見る輩を威嚇すると言う日々を送る事が日課になるのであった。




おわり



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