セラムン二次創作小説『バレンタイン&ホワイトデーSS(旧作まもうさ)』
バレンタインデー『まもちゃん 大好きよ!』
「まもちゃんが大好きなチョコ、今年はいっぱい作ったんだ」
頬を赤らめながらうさこの身体がすっぽり入りそうなくらい大きなハート型の箱を抱えて恥ずかしそうにモジモジしながら渡してきた。
「ありがとう、うさこ嬉しいよ」
不器用な彼女が一生懸命俺が好きなチョコを俺の為に作ってくれているのを想像すると愛しさが込み上げてきて、ギュッとうさこを抱きしめると「えへへ、まもちゃん、大好きよ!」って俺の腕の中で呟いてきた。俺の彼女可愛すぎか!「俺もうさこが大好きだ」ずっと側にいてこの笑顔を守りたいと思った。
ホワイトデー『いつもうさこを想ってる』
「うさこ、この間のバレンタインデーはありがとう。手作りチョコからうさこの想いが伝わって来てとても温かい気持ちになったよ。美味しかった。これはそのお礼」
まもちゃんがお返しに持ってきてくれたのは薔薇の花束だった。それも数本じゃない。まもちゃんの手に収まりきらないほどの本数。
気持ちだけでも嬉しいのに、こんなにも…。
薔薇の花は私とまもちゃんにとって特別な意味を持つ物。
セーラームーンとして初めて戦ったあの日からピンチになると必ず薔薇で助けてくれた。
あの瞬間から赤い薔薇は私にとってとても勇気を貰える存在となった。
赤い薔薇はタキシード仮面様が助けに来てくれる印。
赤い薔薇を見る度まもちゃんを思い出すの。
留学してから連絡取れなくなったあの時期も、赤い薔薇が飛んできてタキシード仮面様が助けに来てくれるんじゃないかって期待してたんだ…。
結局期待外れに終わってしまったけど、こうして戻って来てまた一緒にいられてとても幸せ。
「ありがとう、まもちゃん♪赤い薔薇、こんなにいっぱい。嬉しい」
胸がいっぱいになって言葉が出ない。
もっといっぱい言いたい事、伝えたい事あるのに…。
「どういたしまして。薔薇は俺とうさこにとって思い出深い物だろ?俺たちを繋ぐ大切な物、たろ?」
「まもちゃん…うん」
抑えきれず涙が溢れだし、そのまままもちゃんの胸に抱きついた。
グシャッ
勢い余ってせっかくの薔薇の花束を潰しかけて涙がすっこみ我に返る。
「うさこぉ…」
「えへへぇ~ごめんなさい」
「薔薇の方は大丈夫みたいだな。うさこは怪我してないか?」
薔薇にはほとんど目もくれず、私の怪我の心配をしてくれて、まもちゃんはとても優しい。
きっとこんないっぱいの薔薇の花束なんてとても高いはずなのに、それより私の心配して大事にしてくれる。私には勿体ないくらいの人だよ。
そんな事を思っていたらまた涙が溢れだしてきた。
「うさこ?怪我したのか?どこか痛いのか?」
言葉にならない代わりに、フルフルと頭を振って異議を唱える。
「違うの!胸がいっぱいで…」
やっとの思いで言葉をつむぎ出すも最後まで続かず、詰まってしまう。
そんな私を察してか、まもちゃんは優しく頭を撫で、涙を拭ってくれた。
「薔薇の花束には贈る本数によって意味合いが違うんだ。これは99本ある。永遠の愛、ずっと好きだって意味だよ。いつもうさこを想ってる、これが率直な俺の気持ち」
薔薇の花束の本数に意味があるなんて初めて知った。
99本もある事にも驚いた。
意味を聞いて流れていた涙が更に溢れて止まらなくなった。
大泣きしながら今までの薔薇を思い出し、意味があったのかな?なんて思ったら自分の無知さ加減と勿体ないことをしたという思いが込み上げてきて、馬鹿な自分を呪いたくなった。
「うぇーん。まもちゃん…あ、ありが、と。大好き!」
薔薇の花束を挟んで今度こそ抱きしめあった。
おわり