セラムン二次創作小説『ストロベリームーンに願うこと』
ギャラクシーコルドロン。全てが生まれ、全てが失くなる場所で、一人孤独に護る戦士がいた。セーラーコスモスだ。
全てが生まれるけれど、彼女はいつも孤独だった。
かつての恋人も、仲間もここにはいない。
カオスとの戦いの中、死んでしまいそのまま。もうどれくらいの時間が経ったのだろう。途方もない時間待ち続けたが、彼女たちが戻ってくる事は無く、ただイタズラに時間だけが過ぎて行った。
「まもちゃん、美奈P、みんな……」
コスモスは、かつての仲間たちが恋しかった。
いつも、いかなる時も一緒だった。
そして、これからも同じと思っていた。
しかし、違っていた。
「みんなに会いたい……」
コスモスは、手に持っているロッドを持ち上げた。
そして、遠い太陽系を思い浮かべ、イメージした。
ロッドの中に今の太陽系が映し出される。
それを見たコスモスは、深くため息をつく。
「もう、太陽系が輝くことは無いのね……」
地球や金星を守護に持つ衛や美奈子がこの世にいない。それは、太陽系の惑星も朽ち果てるという事。
月でさえ、輝きを失っている。そこに生命の息吹はない。
コスモスですら、どうすることもできない事だった。
「過去の、最も輝いていた時の太陽系を映し出して!」
そう、ロッドに願う。すると、かつて繁栄していた太陽系がそこに映し出された。
「満月だわ。落ち着く光」
かつての母星に、力を注がれて勇気が湧いてくるようだった。
これはいつの太陽系なのだろうとコスモスは記憶を辿る。
「確か、6月だったかしら?」
朧気な記憶を引き出すコスモス。衛との結婚式がもうすぐという6月の梅雨の合間に晴れて見た満月。
それは、セレニティやクイーンが祝福してくれているかのように綺麗な月の光。大きく、暖かい柔らかな輝きだった。
「6月の満月はストロベリームーンというんだ。恋愛成就や復縁を成功に導くと言われている」
恋人だった衛からそう教わり、ジューン・ブライドとして知られる6月にピッタリで、素敵だと感動したことを覚えている。
そして、地球に憧れて地球国の王子と恋に落ち、恋愛に身を焦がし、恋に生きたセレニティに重なる。月野うさぎとして誕生したのも6月。運命だと感じたし、絶対に幸せになるとその時に誓った。
その月も今はもう朽ち果ててしまい、輝かないけれど、過去の月に願ってもいいだろうか?
「どうか又、まもちゃんと一緒になれますように」
ロッドに最愛の人を映し、ストロベリームーンにそうそっと願った。
いつの日か、また衛や美奈子たちと一緒に大切な場所を守っていけたら。そう願ってーー
おわり
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