セラムン二次創作小説『霊感少女の受難』




最近、私の周りは騒がしい。

美奈達と戦士をしているから、と言うのもあるけれど。それ以外の理由がある。


私には霊感がある。

それ故、他の人には見えない物が見える。

それは戦士をする前からの事で、それも変わらない事。


一つ、変わってしまったことといえば戦士をしていて倒した敵の霊が見えるようになった事。

敵と言っても生きていた時と違い、危害は加えて来ない。

守護霊の様な存在になっている。

その内の一人が、ジェダイトその人。


たまに私の傍に来ては浮遊している。

最初はそれだけだった。

けれど、私が視線を合わせてしまった事により、“見える”と彼に認識されてしまった。

そして話す事も出来ると気付いた彼は、私の所に来ては話しかけるようになっていた。


勿論、火川神社内にいる時限定だけれど。それでもしょっちゅう誰にも見えない相手と喋るのは、とほぼ無視を決め込んでいた。

それでも前世からの人懐っこく、へこたれない性格の彼は挫けることなく一人で喋っている。

話の中心は四天王や衛さんの話が多い。


そしてそんなある日、事もあろうかその四天王全員で私に会いに来た。

恐らく、いや、絶対私が霊感の持ち主である事を暴露したのよ。


「マーズ殿、驚かせてしまい申し訳ございません」


クンツァイトが恭しく挨拶してきた。

リーダーらしい。そして、前世と全く変わらない。

真面目で肩苦しくて、苦手だわ。


「相変わらずのクールビューティだな~」


ガハハと豪快に笑うネフライトは、相変わらずガサツで、合わないわ。


「ネフライトがすまないね。ジェダイトばかりズルいって事になって、全員で来たんだ」


そう説明するゾイサイトは見た目も相まって、まだ2人よりは話しやすい。

それに今ので大体状況把握が出来た。

流石、四天王一の秀才。そしてマーキュリーに認められただけあるわね。


「いえ、何となくの察しはつきましたわ」


この状況の元凶であるジェダイトを横目で睨みつけながら、致し方なく会話をする事にした。

すまなそうな顔をしてはいたけど、本当に反省しているかは疑わしい。

まぁ私がジェダイトと視線を合わせたから、彼のせいばかりではないけれど。


「やっぱり俺らと話せるんだ!すげぇぜ!」

「黙れ、ネフライト!機嫌を損ねさせるなよ」


4人を見た時からとっくに機嫌は損ねてますけど。と不毛な争いを見て思っていた。

それよりさっさと要件済ませて元の主へと帰って欲しい。


「聞きたいことがあるのではなくって?」

「話が早くて助かります。早速だが、ヴィーナスは俺の事何か言ってはいなかったですか?」

「いえ、別に特には。恋がしたい、彼氏が欲しい!は呼吸をする様に当たり前に言ってますけど」

「と言う事はまだ彼氏はいないと」

「まぁそうなりますね。貴方も知っての通り彼女は責任感が強いリーダーですから、うさぎが一番です」

「そう、だったな。ありがとうございました、マーズ」

「いえ」


必要以上の情報を与え過ぎてしまったかしら。

張り合ってしまって、らしくなかったかしら。

つい、ムキになってしまって。ダメね。


「リーダーはもう終わり?じゃあ次は俺な!ジュピターにまとわりついてる奴ってどんな奴?どーゆー関係?」


何それ?どっと疲れる質問しないで欲しい。

そもそも恋愛トークは苦手分野なのに、何故こんな状況になってるの?何の罰ゲームなの……。


「親しくしている後輩。正しくは衛さんを慕ってる、とてもいい子ですわ」

「マスターの後輩か……好敵手だな」


勝手にライバル認定されて、浅沼くん可哀想に……。


「ジュピターはそいつの事、どう思ってんだ?」

「可愛い後輩だと可愛がってますわ。恋愛感情のようなものは無さそうです。過去の失恋を引きづっているのと、ヴィーナス同様プリンセスが一番ですから」

「そっか、サンキューな」

「いいえ」

「じゃあ最後は僕だね!マーキュリーはどうしてる?」


最後はゾイサイト。これで、この状況から逃れられると思うと本当にホッとする。

手短に済ませたいところね。


「相変わらずお勉強の虫ですわ」

「恋愛や僕の事は?」

「勉強が恋人、と言った感じで浮いた話は特に。貴方の事も何も」

「そう、ありがとうマーズ。感謝するわ」


頭のいいゾイサイトは、端的で礼儀正しい。

私がこう言う状況に不向きな事も、勘づいているのかそれ以上は詮索してこなかった。


「ではマーズ、ご武運を」

「マスターとジュピターを頼んだぜ」

「さようなら」


3人はそう三者三様に挨拶をすると、元の主へと帰って行った。

一方のジェダイトは、残ることにしたのか消えずにそのまま。

私も言いたいことがあったから、今回は見逃して差し上げるとしますか。


「マーズ、ごめん!」

「口を滑らしましたのね?」

「つい、うっかり……」

「はぁ……」

「もう、金輪際無いようにするから」

「ええ、2度目はありません事よ」

「ありがとう。今度からは俺一人で来るよ!じゃあ、また」


都合良くも彼は、自分1人なら許される。そう解釈して、去っていった。貴方も同じですのよ、との言葉を受け取ること無く。

そして私は、平穏な日々は二度と戻らないと悟った。





おわり





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