セラムン二次創作小説『親父の説教(クン美奈)』
デートの待ち合わせで、美奈子の家の近くの公園のベンチで本を読んで待つこと20分が経過。
待ち合わせ時間は朝の10時だが、そろそろ10分が経とうとしていた。
つまり、美奈子はこの時点で遅刻は確定している。その上、俺は10分前行動を心がけている為、もうかれこれ20分は待っている事になる。
美奈子の遅刻は想定内であるから余裕で待てる。それを見越して俺は、暇潰しに本を一冊持って来ていた。
別に衛が本好きだから真似たんじゃ無いぞ?それは断じて無く、たまたま俺も本を読むのが趣味なだけだ。
その暇潰しの本のお陰で美奈子の遅刻は苦ではなく、有意義な時間を過ごせている。美奈子様々と感謝してもいいくらいだ。
「きーみとー、ごっめぇ~ん!」
遠くの方から美奈子の声が聞こえて来たから顔を上げる。視界に美奈子が映る。
漸く待ち人の登場かと口角を少し上げて美奈子を寛大に迎え入れる準備を始める。その時にチラッと腕時計を見ると、10時50分になっていた。何と、一時間も待っていた。本に夢中になり過ぎて、時の流れに気づけず、自己嫌悪に陥る。
いや、それより待ち合わせは11時だったのか?
「待ち合わせは11時だったか?」
「……いえ、10時で間違いないです」
待ち合わせ時間を確認せざるを得ない時間の経過だけに、質問してしまった。
美奈子自身も流石にマズいと思ったのか、素直に応えて拍子抜けした。
「で、遅刻の原因は?」
「そう、それよ!見て!」
そう言って美奈子はモデルの様にその場で一回転回って見せた。
美奈子の下半身を見て、俺は目ん玉が飛び出たのでは無いかと思う程、驚いてしまった。何と、超ミニスカートだったのだ!
「な、何て格好をしているんだ?超ミニスカートでは無いか!」
「スカートじゃないわよ、馬鹿ね」
「ば、馬鹿に馬鹿と言われたくない!」
「これはね、キュロットよ」
「キュ……?」
「そう、キュロットなの!」
驚いて怒鳴っている俺の前で、美奈子はスカートでは無い事を証明する為、裾を捲って見せた。
その恥じらいも何も無い行動に対して俺は、完全に頭がおかしくなり、頭を抱える事になった。
「馬鹿!何を考えている?」
「百聞は一見にしか見えずって言うでしょ?説明するよりこうして見せた方が早いじゃない!」
「それを言うなら百聞は一見にしかずだ。それは分かるが、俺は男だぞ?」
「何当たり前の事言ってるのよ?」
「俺が聖人君子だから良いが、襲われでもしたら」
「私、あんたの事信じているから」
「それは感謝するが、周りに誰かいたらどうするんだ?」
そう、美奈子は何も考えずスカート改めキュロットを捲りあげていたのだ。
家の中で俺一人ならまだしも、ここは公園と言う公共施設。休日という事もあり、誰かいて当たり前なのだ。
まぁ、今日は幸い誰もいないから良かったものの、もう少し思慮深く行動して欲しいものだ。
「誰かいたらこんな事しないわよ。流石にそこまで馬鹿じゃありません!」
「そうか、なら良かった」
「でも、そんなに怒る事?」
「誰だって自分の彼女が露出度高めのスカート、この場合はキュロットだが、履いてきたら戸惑うだろ?」
「何でよ?」
「そう言う格好は自分だけでして欲しいからだ」
「何それ?」
「他の男に素肌を見せたくないからだ」
説明していて、心の狭い男だとつくづく自分自身の器の小ささに悲しくなってきた。それと同時に、美奈子の鈍感さ加減にも泣けてくる。
タダでさえ美人で、明るく人当たりもいい。そんな彼女が、こんな露出度高めの格好をしていたら、すれ違う男は皆、振り返ったりナンパをして来るのは想像にかたくない。
「何言ってんの?セーラー戦士の戦闘服だって超ミニスカートじゃない」
「それとこれとは別だ!」
「別じゃないわよ!一緒でしょ?どこが違うのよ」
「戦闘服は仕方ない。俺が口出しする事は出来ない。しかし、私服は別だ!」
「意味分かんない!」
「兎に角、もう少し丈の長い布を纏え!」
「布って……オッサンか?」
「何とでも言え」
「じゃあ、公斗が好みの長さの布を買ってよ」
「……分かった。俺に着いてこい!」
半ば逆ギレで美奈子の手を取り、車に乗り込んでデパートへと向かった。
車中では美奈子が本当に買いに行くの?予定と違うとブーブー言っていたが、無視して拉致った。
そして、着いたデパートで、ロングスカートを買い、その場で無理矢理履き替えさせて今日のデートは幕を開けた。
文句を言っていたが、スカート一着買い与えてやったのだ。美奈子にとっては儲けものだろう。
寧ろ痛いのは俺の方で、想定外の出費に心が狭い事もバレ、挙句オヤジだのと言われ、散々なデートの幕開けを迎えたのだから。
END
2022.10.18
ミニスカートの日