セラムン二次創作小説『どんな難題でも(ゾイマキュ)』
とっくに夜になった図書館。
そこで一人、ゾイサイトは調べ物をしていた。
明日の護衛があの才女で有名なマーキュリーだと小耳に挟んだ。
彼女は勉強熱心で、地球に降りたってからいろんな質問をして来る。
前回来た時も質問攻めにして来て困った。
持ち帰って調べる事でその場を収めた手前、調べないわけにはいかず、夜遅くまで図書館に缶詰になっていた。
別に質問に答える義務はない。
調べる必要も無い。
彼女が忘れている可能性だってある。
覚えていても適当にやり過ごせばいい。
しかし、そうしないのは彼女の期待に答えたいから。
男として約束を果たしたい。ただそれだけだった。
それに、調べる事で自分自身も改めてこの地球(ほし)を知る事が出来る。
強いてはマスターの為にもなる。
結局は俺も彼女同様、勉強が好きなのだ。そう気付かされる。
疑問をそのまま有耶無耶にする事もしたくない。その一心だった。
「ゾイサイト、夜遅くまで関心だな」
「ジェダイトか……ああ、まぁな」
突然声をかけられ驚く。物凄い勢いで集中していたようだ。
声の主はこの場に不似合いなジェダイトだった。
「余り根詰めるなよ」
「もう少しして終わろうと思ってたんだ」
「そうか、ならよかった。明日はマーキュリーだってな?」
「ああ、そう聞いたから前準備だ」
「熱心だなぁ。一体護衛でどんな会話してんだよ?」
「地球と月の性質の違いとか、云々…… 」
「ストップ!硬い話はゴメンだ。寝られなくなる。もっと色気のある話しろよ。疲れるって」
「これが俺たちの付き合い方だ」
ため息をつき、呆れながら「じゃあな」とジェダイトは立ち去った。
色気ってなんだよ?ただの護衛に色気も何も無いと思うんだが。
そんな事を考えながらジェダイトの後ろ姿を見送り、残りの調べ物をまとめる。
暫くして前回のマーキュリーからの宿題も無事解決したし、そろそろ自室に戻るか。
別に明日の護衛は俺と決まっている訳では無かったが、暗黙の了解で行くつもりをして十分な準備をした。
いや、十分だと思っても、彼女の博識な質問はそれを優に超えて来る。してもし足りない。新たな疑問が湧き上がり、また質問をして来る。
しかし、これ以上しても頭には入って来ないし、明日に響く。
俺以外の四天王は尽くこのマーキュリーの質問攻めを前に意気消沈し、撃沈していた。あのクンツァイトですらお手上げ状態。珍しすぎる。
お陰でマーキュリー護衛の時は自ずと俺が行く事になっていた。
そして前もってわかっていれば疑問という名の宿題をこうして図書館で調べて準備していた。
今回はたまたま一夜漬けになってしまったが、普段は時間を見つけてコツコツ勉強をしている。
マーキュリーが来ると言う事は明日は雨か?なんて馬鹿な事を考えながら明日に備えて眠りについた。
おわり