セラムン二次創作小説『特殊能力に翻弄されて(ジェダレイ)』


私には生まれた時から人とは違う力が備わっていた。

それは、普通の人には見えないものが見える能力。一般にそれを霊感だとか霊能力と言われるもの。

幼少期であれば割とみんな見える見たいだけれど、その能力は成長するにつれて無くなるのだとか。

けれど私は、見えなくなるどころか段々とその力は強くなっていった。

そのせいで気味悪がられ、忌み嫌われてしまう。そんな力が疎ましかった。

でも、幼少期にその力を強く願ったのは私自身だった。


まだ6歳の頃、大好きだった最愛のママが病気で帰らぬ人となってしまった。

ママを亡くした私は、幼すぎて受け入れる事が出来ず、幽霊でもいい。会いたいと願った。そのせいかは分からないけれど、霊感はママが死んだ日を境に強くなっていった。


強くなった霊感とは裏腹に、ママの幽霊には会えなかった。どれだけ望んでも、ママを見る事は出来ない。何故?

成長するにつれて段々その理由が分かってきた。いや、今まで察していたけれど気付いていない振りをしていた。と言うのが正しいかもしれかい。

ママが見えないその理由、それはママ自身にこの世に未練が無くて成仏してしまったのだということ。


幽霊という物は、この世に何か未練や怨み、後悔や心配事がある人が成仏出来ずに現れるという。

この事に乗っとると、ママはそのどれも当てはまらなかったという事になる。残念だけど。寂しいけれど、ママはこの世に何も未練がなくて。私の事も心配はしていないみたい。

私はもっとママと話したかった。一緒にいたかったし、色々将来や恋愛の事なんかで相談に乗ってもらったり他愛もない話で笑い合いたかった。

普通の幸せを味わいたかった。なんて高望みなのかしら?


セーラー戦士になって、みんなと違う力があったのはこの為である事を知った。

ママを見る為の力じゃなかった。だから見えなかった。そう考えると楽になれた。

それと同時に、次は又新たな願望が芽生えてしまった。

前世の事を思い出してしまった私は、あの人に逢いたいと思ってしまった。前世で唯一慕っていたお方。そして、ありのままの私を真っ直ぐ愛してくれていたあの人。

使命の手前、気持ちに素直になれず答えることは無かったけれど。心の奥底から湧き上がる感情。


「ジェダイト……」


前世でも現世でも使命のためにこの手で殺したその人の名を、そっと呟く。

ダークキングダムとの激しい戦いの後、何度も探してみたけれど、ママ同様会うことが出来なかった。

きっと彼もこの世に、私にも未練がないのかもしれない。


「ズルいわ」


私をこんなに好きにさせておいて、酷い人。

私はこんなに逢いたいのに。貴方はそうでは無いの?誘拐までしておいて。それで満足したのかしら?

まあ出てこられても、どうすればいいのか。何を話せばいいのか分からないからこれでいいわ。


私はこれから先も戦士だもの。

貴方よりも大事なものがある。

貴方よりも大切なひとがいる。


振り返ったりしない!

後悔したりもしない!

男なんかいらない!


だから私は貴方の分まで生きて、この身尽きるまで使命を全うするからどこかで見ていて下さるかしら?





おわり




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