セラムン二次創作小説『オ・モ・テ・ナ・シ』


今俺は久しぶりに地球へ俺に逢いに来てくれたフィオレを連れてマク○○ルドに来ていた。


初めて来た時も2回目も生憎全く地球を堪能できず、地球での流行りや文化、どんな所なのか触れることは無かったばかりか、地球に恨みを抱いてしまっているフィオレにもっと地球の素晴らしさや楽しさを知って欲しかった。


それに前世だけど、地球の王子だった俺としては地球での思い出が辛いものとして記憶されていることがとても悲しくて残念なことでもあった。


勿論、今の俺自身も地球に対して恨んだ思いを抱えて欲しくなかったから、せめて今回の滞在の期間中だけは全て楽しいものにしてあげたいと考えていた。


とは言え俺も今の地球を思いっきり謳歌してると言えないから、謳歌の天才である恋人のうさこにどうしたらいいかと相談していた。


それで何故マク○○ルドかと言うと、それはうさことのデートでの事。

マ○クが食べたいと言い出したうさこのために寄ったマク○○ルドでメニューを決めている時の事だ。


「フィレオフィッシュか…」

「まもちゃんはフィレオフィッシュ頼むの?」

「ああ、どれがいいかよく分からなくてな」

「今の時期ならグラコロが美味しいんだよ!私はグラコロ♡」


実はこの時うさこと来るまではマク○○ルドに来る機会がなく、初めて入ってとても戸惑っていた。

それとは対照的に子慣れた様子で俺の分までうさこがオーダーを取ってくれてとても助かった。


席に座り注文したフィレオフィッシュを食べながらフッとフィレオフィッシュとフィオレって字面がとても似ているなと思い、フィオレはどうしているかな?とうさこといながらフィオレの事を思い出し、会いたくなった。


あの時はうさこを傷つけたりして戦いになり、そんな事を思う余裕など持ち合わせてはいなかったけど、幼少期の両親を亡くし、記憶もなくして絶望の淵に立っていた俺に優しくしてくれたフィオレは入院中の心細い俺にとっての唯一の心の拠り所であり、楽しい時間を過ごせていたかけがえのない人だった事に今頃になって漸く気づいた。


そして今度来た時は最高のお・も・て・な・しをしてあげたいとこの時に思っていた。


だけど、彼は宇宙を流浪するさすらいの宇宙人、いつ来るのか?何処にいるのか?そもそもまた地球に来てくれるかは彼次第なので分からない。


いつか来てくれたらとその想いがあり、いつ来るか分からない相手に対してうさこに色々相談に乗ってもらっていた。


トーキョーウォーカーと言う雑誌を勧められたり、まもちゃんのお気に入りの場所とか思い出の場所とかに行くのも嬉しいと思うと言われた。

きっとうさこも俺の思い出の場所やお気に入りの場所に行きたいんだろう、スラスラとアドバイスが出てくる。

お陰でうさことのデート場所も自ずと予定が立てやすくなる。


「で、フィオレっていつ来るの?」


天然で無邪気に聞いてくるうさこに痛いところを突かれてしまった。


「さぁ?」

「へ?分かんないの?」

「ああ、今どこにいるのかも、そもそも来る予定があるかも分からない」

「何それ意味分かんない!来るかわかんないのに真剣にデートプラン考えてたの?」

「デ、デートって…」

「デートじゃん!すっごく真剣に考えてたんだもん、てっきりもうすぐ来るのかと思ってた」


信じられないと呆れられてしまったが、いつ来てもいいように計画を練っておくのも困らないだろう。

フィオレはいつだって急な訪問だから。


だけど、こちらの意に反してその機会は割と遠くない日にやはり突然やってきた。


シレッとまた地球にフィオレがやって来た。

彼いわく「衛くんが呼んでる気がして」らしくまさかのテレパシー能力か?流石は宇宙人と驚いた。いや、呼んではいないのだが…。


どれくらいの滞在か聞くと「衛くんの気が済むまで」と訳の分からない答えが返ってきてとても困惑した。

結局はフィオレの気分次第と言ったところだと思うが、コチラにも予定がある。漸く戦いも一段落してうさことラブラブなのに長々いられると彼女の機嫌が損なわれる。

勿論、滞在は嬉しいのだが、やはり種族の違いか色々考え方が違いズレてて戸惑う。


でも久しぶりのフィオレに少なからず会えた事が嬉しくなり、計画していた所へ連れて行ってあげようと思った。



で、話は冒頭に戻るというわけだ。

フィオレが地球の食べ物を食べられるかは分からないが、取り敢えず楽しんでくれたらという思いで連れてきたマ○○ナルド。


フィレオフィッシュを2つ頼み席につき、フィオレに1つあげる。


「これをどうするんだ?」


やはり来たかこの質問。“食べる”と言う概念がない種族と言う事か?


「食べるんだよ」

「食べる…とは?」

「言葉を発してる部位に物を入れてあげる行為だ。ほら、こうやって」


食べ方を実際食べながら身振り手振りで教えてやるとフィオレは大分不思議そうな顔で俺がハンバーガーを食べる様をまじまじと見入っていた。


「地球人とは不可思議な行動をとるものなのだな?」


首を傾げながらも俺が教えた通り口にハンバーガーを恐る恐る運んでいく。

歯で噛むという行動も俺をまじまじと研究して見様見真似でやってのける。

分からないなりにも俺を見て出来るように地球文化に馴染もうとしているフィオレを見て暖かい気持ちになる。

見られていたその間はとても気恥ずかしかったけどな笑。


「上手だな。美味いか?」

「うま…い?」


アハハハハ、まぁ当然味の美味い不味いは分からないよな。


「フィオレの口に合うかって事なんだけど、どうだ?」

「く…ち?」

「言葉を発している部位の中に入った具合はどうかってことなんだが」

「ああ、新しい感覚だが悪くは無い」


どうにか伝わったようでホッとしたと同時に悪くない反応に胸を撫で下ろす。


「食べられそうか?」

「衛くんのお勧めなら全部食べるぞ」

「そうか、よかった」

「さっきの行動を繰り返せばいいのか?」

「ああ、無くなるまでやるといい」


地球文化に馴染もうとしてくれているのか必死でフィレオフィッシュを食してくれた。


その後、地球にいる間中マク○○ルドへ行こう、フィレオフィッシュを食べたいとことある事にせがまれ連れて行かれ、一生分フィレオフィッシュを食べるはめになり、当分はもうマク○○ルドはいいというくらい通わされた。


そしてその間、うさことはほとんど会う事が出来ず機嫌をすっかり損ね(いや、俺も会いたかったんだぞ?)、亜美ちゃんからはすっかりそっち方面だと疑われ、レイちゃんには女心について説教され、美奈子ちゃんからはネタに脅され散々だった。

それより1番怖い事はまこちゃんが何も触れてこないことだ。いっそ何か言ってくれた方が気が楽だ。何か言いたそうな顔だけに…怖い





おわり



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