セラムン二次創作小説『優しいメロディ(はるみち)』



タリスマンの出現を予感して今までの事を思い出しながら、これから僕達がしようとしていることを思いながら己の手を見つめていた。


目的を達成する為ならどんな事だってやってきたし、犠牲にしてきた。

覚悟はとっくに出来ている。

使命のためなら3人の命を見殺しにしても構わない、そんな覚悟をしていた。


「どうせこの手は汚れている」


今までしてきた数々の酷い行動を振り返りながらうわ言のようにボソッと呟くと近くにいたみちるがとても心配そうな顔で僕を見ている気配が目に移りハッとなる。


「大丈夫よはるか、私はあなたの手が好きよ」


髪の毛を拭きながら水着姿のまま僕の右手にみちるの右手を重ねてきた。

そのまま手を取り握り締めるかと思いきや指をゆっくり動かしてきた。


その動きはとても繊細で、まるでバイオリンの弦を抑えるようにしっかりと、ピアノを弾くかのように力強く僕の手を何度も動かし重ねてくる。


虫も殺さないような、だけどとても気の強い繊細な音楽家のお嬢様であるみちる。バイオリンを弾く穢れを知らない綺麗な手で、無垢に。


そしてとても軽やかに汚れきっている僕の手を、まるですぐに壊れてしまいそうなものを触れるかのように触れてくる。


軽快なリズムで、何か音楽が流れてくるような彼女の指はどんな曲を奏で、何を思っているのだろうか?


この五線譜にも似た指にどんな曲を作り、何を思い描いているのだろうか?


一通り指をからませた後、とても綺麗な顔で僕に微笑むみちるはまるで女神みたいで、こちらの全てを見透かし浄化されたようで、心が晴れてきて幾らばかりか軽くなるようだった。




END



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