セラムン二次創作小説『Miracle Romance〜この先もずっと〜(旧作まもうさ)』


side EARTH


「良かったな、彼氏が戻ってきて」

「星野のお陰だよ。星野がいてくれたから私、頑張れた」


この会話から、俺がいない間に俺の分まで側にいてうさこを支えてくれていたことは想像に難くなかった。ずっとうさこを守ってくれていた事、星野くんのお陰でうさこは心折れず頑張れていたことが事実として目の前で突きつけられた。


「俺、お前の事ずっと忘れないから」


この一言と星野くんがうさこを見つめる顔で、うさこにとても惚れているだろうと言う事も伝わってきた。

肝心のうさこ本人はいつも以上の鈍感力ですっとぼけていつまでも友達だとか答えていたけれど、本当の所はどうだったんだろうと考えるだけで心が苦しくなる。

俺がいない間守ってくれた事には素直に感謝しているけど、仕方なかった事とはいえ、うさこの心を魅了し持っていかれることはとても嫌悪感だった。

勿論、うさこのことは信じている。

けれど、夢のせいとはいえ、1度はこっぴどく拒絶し、遠ざけ傷つけた事実がある以上、俺ではない人を選んでしまうのではないか?と言う思いに襲われ、どうしようも無く怖く、不安で潰されそうになる。

いつも余裕ですかしているけど、本当は余裕なんて全くないし、いつでもうさこが自分だけを想って選んでくれるとは限らないわけで。


「これからはお前が守ってやれよ」とかっこよくキザに去って行ったけど、今回たまたま傍で守ってやれなかっただけで、うさこがセーラームーンになった時から支えて来た。

不在にして不安な時に俺じゃない男に守られていると考えるだけで虫唾が走る。

うさこを守る奴が他にもいるかもしれないと言う事実が判明した以上、言われなくともこの先もずっと側にいて守る。これは役目は俺だけの特権だ。誰にも譲らない。この先もうさこの笑顔を守るのは俺だけだ。


「ありがとう、星野」


優しく感謝の言葉を言ううさこに気が気じゃない。守って貰ったから感謝をするのは当然の事だと分かっていても気遣いが出来る心優しい彼女に気が気じゃない。一挙手一投足が他の男を魅了し、翻弄するのだから。


彼等?彼女たち?が無事旅立ち、美奈子ちゃん達とも別れ、漸くうさこと2人きりになれてホッとした。

移動した場所はとても月が綺麗な所で、まるでたった1人孤独と戦いながらギャラクシアと対峙したうさこを激励し、癒している、そんな優しいスーパームーンの光。そして俺たち2人を見守っているかのようで、とても心が安らぎホッとして落ち着く光だ。


「まもちゃん、あたしの事好き?」


腕をからませ、頬を赤らめ上目遣いで甘えながら聞いてくるうさこ。


「ああ」

「本当に?」

「ああ」

「どれくらい?」

「どうしたんだ?急に…」


久しぶりに会ったからだろうか?

色々不安だったのだろうか?

珍しく逃げる事を許してくれない彼女に戸惑う。


「ねえ、どれくらい?」

「そうだなぁ、一緒にいると元気になるくらい」


大好きだとか愛してるの簡単な一言ではこの想いは表せない。在り来りな言葉で済ませたくはなかった。

うさこも満足だったのか、とても喜んでくれた。


月の光に見守られ、俺とうさこは甘く長いキスを出来なかった間の分を埋めるかのようにいつまでもいつまでも交わしていた。


この先もずっとうさこの傍でこの笑顔と暖かい光を守っていこうと改めて誓った。




side MOON


「俺、お前の事ずっと忘れないから」

「私たち、いつまでも友達だよ」


ギャラクシアとの戦いで死んでしまったみんなが戻ってきてとてもホッとした。

まもちゃんも無事帰ってきてくれて、とても嬉しかった。

戦いも終わって漸く平穏な日常が戻ってくると思うと安心した。

星野達も自分達の星に帰る事になって最後の星野の言葉に友達を強調する。

美奈子ちゃん達には鈍いにも程があるとか分かってないとか散々言われたけど、私本当は星野の言葉の真意を分かってた。

分かってて分かってない振りをしたの。

ずっと側にいて守ってくれていた星野から告白された事、流石に忘れてないし覚えてる。

だからきっと“ずっと忘れない”の意味は私の事ずっと変わらず好きでいるってことなんだと思う。自惚れかもしれないけど。

その気持ちには答えることが出来ないから“いつまでも友達”だって惚けて分からない振りをしたの。

まもちゃんが戻ってきてくれて、とっても嬉しくてとても満たされて、やっぱり私はまもちゃんが大好きで、私にはまもちゃんしかいないって思ったの。

連絡が無くてもずっと心配していたんだもん。そんな辛い時にいくら側にいて励まして守ってくれていても星野じゃ私の心は埋まらなかった。それどころか会いたくて会いたくて震える程寂しかった。他の人の事なんて入る余裕なんて全然なかった。

それにせっかくまもちゃんが戻ってきてくれて傍にいるのに、変な事言って嫌われたくなかったんだ。

だからごめんね、星野。自分の幸せ見つけてね。

星野達はセーラー戦士へと姿を変えて去っていった。

精一杯の感謝の言葉を伝えて星野達とお別れ、私たちはその場を移動した。


久しぶりにまもちゃんと2人きりになって来たその場所は母星の月がとても大きく綺麗に輝いていて、とても元気と勇気が貰えて癒された。


「まもちゃん、あたしの事好き?」


月の光に見守られ、一番聞きたいことをまもちゃんに質問すると、突然の質問だったからか戸惑いながらも答えてくれた。

でも、“ああ”だけじゃ納得出来なくて何度も聞き返すと急にどうしたんだって、そりゃそうだよね?不安だったんだ。星野とのやり取り見て愛想つかされたんじゃないか?って…。また絶交されるのはもう嫌だったから。


「そうだなぁ、一緒にいると元気になるくらい」


この言葉を聞いて漸くホッとした。

私といると元気になってくれているのが嬉しかった。

私もまもちゃんといると元気になれるから。

まもちゃんも私と同じで私といて元気になってくれているのが嬉しかった。

まもちゃんがいない時、元気出なかったから、まもちゃんも私と会えないと寂しくて元気出ないのかなって。


気持ちを確かめあった私たちはスーパームーンに見守られて出来なかった分、時間も気にせず長い長い口付けをした。とても安心する温もりだった。


この先もずっとまもちゃんと生きていきたいと心からそう思った。





おわり



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