セラムン二次創作小説『未知なる未来の先は(はるみち)』




私が選んだ道は、どれも困難でイバラの道だった。


ーーセーラー戦士として戦うことも、天王はるかという人を愛する事も。


このどちらも未来があるとは言えない、不確かな道。


それでも選んだ事には後悔はしていない。しないよう、ぶれないように意志をしっかり持つと決めていた。


セーラー戦士として目覚める前からしていたヴァイオリニストや画家として活躍していた。戦士よりこちらを選ぶ方がきっとずっと未来があって、私らしくいられる。そんな事は分かっていた。だけど……


私はセーラー戦士として生きて行くことを選択した。


正義の戦士?そんなの馬鹿げているわ!

私じゃなくたって良いじゃない。

誰かやりたい人、向いている人がやればいい。そう思っていた。


だけど、そうじゃなかった。戦士をしていく中で取り戻した前世の記憶。


私は最初からセーラーネプチューンとして戦士をしていた。私でなければならなかったのだ。他の誰でもない。他の誰も出来ない事だった。


運命を受け入れて戦うしか無かった。


そう、どの道戦わなければ未来は無い。ヴァイオリニストとしても画家としても活躍する未来は切り開けないのだと、はっきりと思い知らされた。


私の使命は三つのタリスマンを集めて、セーラーサターンを葬ること。


前世での最期にして最大の記憶。セーラーサターンが振り下ろした沈黙の鎌は、強大でシルバーミレニアムは無になり、私とウラヌス、そしてプルートはそのまま静かに永遠の眠りについた。


目覚めて記憶が蘇った頃にはもう遅く、外宇宙からは敵は侵入しているわ、セーラーサターンの生まれ変わりはいるわで悲劇の再来を恐れた。


サターンさえ殺せば悲劇は回避される。過去の再来にはならないと、殺す事を決めた。


誰だってあんな記憶があればその選択に行き着くのが自然の流れというもの。後悔はしない。


戦士として目覚める前から私と同じくレーサーとして活躍していた天王はるかを慕っていた。風のように自由で空のように爽やかな人。


天王はるかが女性だと分かっていながらもこの想いは止められず、日に日に募って行った。


住む世界が違う。それに彼女は女性。交わる事なんて無いと諦めていた。無理矢理諦める理由を探していた。


けれどセーラー戦士として目覚めて暫くして彼女も同じ使命を持つセーラー戦士である事が判明。ーー運命が動き始め、交わった。


諦めていた事がセーラー戦士をする事で一筋の光が差し込んだ。


同じ使命を持ち、運命に立ち向かう中ではるかと戦士の絆を超えたパートナーとなった。とっても嬉しかった。


けれどそれは同時に普通の恋人としての幸せを手に入れられないこと。未来が無いことも表していた。


私とはるかは所謂“同性愛”で、偏見を持つ人も多い。法律でも結婚は出来ないし、当たり前だけれど子供だって出来ない。


自分で選んだ道だから後悔はしていない。寂しくないと言ったら嘘にはなるけれど、愛する人が同性で、互いに強く想いあっている。それだけで十分幸せ。


女性として生まれたから愛する人の子供が欲しいとは思う。いずれは辛くなることもあるでしょう。


けれど今の私はセーラー戦士をしながらヴァイオリニストと画家を兼任。そしてそこに学生として敵地と思しき学校に潜入。

遠い未来の事を気にしている余裕は持てない。学生でもあるし。


けれどまさか葬ろうとしていたセーラーサターンの生まれ変わりが最終決戦後に赤ん坊として生まれ変わってくるなんて思いもしなかった。


泣き声の方向に思わず一目散に駆け寄って育てる決意をしていた。


はるかとの子供を設けることは出来ないけれど、この子を私たちの子として育てる事は出来る。


全てはこの子が繋いでくれた縁。


立派にほたるを育てるわ。


私たちがセーラー戦士である限り、この先も戦いはきっと続いていくと思うけれど、自分で選んだ道だから後悔なんて絶対にしないわ。


大切な遙かな未来が満ちる時、幸せの蛍火が灯ることを信じているからーー





おわり




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