セラムン二次創作小説『無慈悲な運命(A美奈)』


もしも運命が違っていたら、出会う事があっただろうか?


月の王国のプリンセスを守る戦士として月に行く使命が無ければ、金星にずっといただろうか?


金星のプリンセスとして生まれ育った彼女は、惚れっぽい人だと聞いていた。


そんな彼女の側近をしていたら、普通に俺も好きになってくれていただろうか?


前世でも俺を選んでくれただろうか?


どうして俺は下級兵士だったのだろう……


どうしてヴィーナスは俺を知らないのだろう


どうして金星人の俺ではなく、地球人のクンツァイト様を選んだのだろう


月の姫と同じく禁断の恋を選ぶなんて、愛の女神失格だろう


愛の女神自ら神の掟に逆らうなんて、信じられない。信じたくない


同じ金星人の俺を選べば、幸せな未来が待っていただろうに


生まれ変わって、前世の記憶を取り戻してから俺は、そんな虚しい事ばかり考えて、前世に思いを馳せていた


終わった事。そう割り切るには余りにも残酷な記憶ーー


憧れ、想い、愛した人が想っていたのはかつての上司で、再び転生してからも上司のクンツァイト様


やっと叶ったと思った恋は、すぐに散ってしまった


現世でも彼女は俺を選んでくれなかった


クンツァイト様に勝ちはしたが、月の姫を前に脆くも散ってしまった


月の姫はやはり強い


負けても後悔はない


不思議と悲しくはなかった


けれど、出来ることならヴィーナスに愛される世界線にいきたい


俺だけに愛を注いでくれて、俺だけを見てくれる。そんな世界にいたい


だから、我が愛の星、金星よ


どうか来世では、ヴィーナスと普通に出会い、恋をして、恋人として愛し合える優しい世界に生まれ変わらせてほしい





おわり



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