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靴音
ご機嫌好う、173です。
チョコレートは明治派です。
前回、足を見た話を書きましたが、今回は私が聞いた不思議な靴音のお話です。
あれは小学校3年生の頃でした。
授業中にトイレに行きたくなった私は、
「先生、トイレに行ってきてもいいですか」
と許可を得て、教室のすぐ隣にあったお手洗いまで行きました。
当時の校舎はもう建て直されていて、今はもうぼんやりとしか思い出せないけれど。
結構な築年数が経っていて、3.4.5年生まで同じ校舎、1番上には音楽室があったのを覚えています。
今の小学校のお手洗いって和式?洋式?
当時のトイレは和式で(というか確か高校まで和式の校舎だった気がする)(洋式あったかな)
1番手前の個室に入り、用を足し、いざ出ようとすると
誰も居ないはずのトイレの奥から足跡が聞こえたのです。
コツ、コツ、コツ、コツ、
かこ、かこ、かこ、かこ、
足音が2種類。
ハイヒールの様な音と、下駄の様な音。
はて。
トイレは誰も居なかったはず。
今日は普通の平日。特に授業参観や工事がある訳でもなく、外部の方の出入りも見かけなかった。
何より、トイレは上履きからスリッパに履き替えて入る。
入った時個室のドアは、全て開いていたのを覚えてる。
じゃあこの2つの足音の主は、誰———?
色んな事が一瞬で脳内を駆け巡りました。
所詮小学校のトイレです。
あまりハッキリとは覚えていませんが、個室の数なんざ精々3.4つ。
足音の感覚的にすぐに私の個室の前まで移動してきたのがわかりました。
あれこれ考えていた割に、当時は特に恐怖感もなく「あ〜誰か居たのかなぁ」「授業中にトイレなんて」とか「休み時間のうちに済ませなさい」とか何とか言われないと良いけど……。
なんて。呑気に考えていた矢先です。
足音が2つとも私の背後で止まる。
足音は、止んだ訳ではなく、止まったのです。
暫く息を潜め、背後のドアに神経を集中させました。
いかんせんこちらは未だズボンも上げておらず、なんなら尻丸出しの状態な訳で。
当時学校の怪談が流行っていたので、私の心臓はバクバク音を立てていたのを覚えています。
上から覗いていたらどうしよう。
下の隙間から目があったらどうしよう。
ギュッと目を瞑り、どっか行って!と強く願ってみたりも。
1〜2分程固まっていたかしら。
何故かふと我に返り、「ていうかトイレ遅すぎると先生に怒られる!」と思い直し、
もしトイレに誰かいて、何か怖い思いをしたら大声で叫べばいい。
私ゃ教室に戻るんだ!怖がらせやがって!と急に怒りが湧き、すぐ様行動に移しました。
ズボンを上げ、水を流し、なにくそと勇み、勢い良くドアを開ける。
するとそこには案の定何もなく、ただ普通の静かなトイレでした。
肩透かしを食らった私は、取り敢えず何も無くてよかったと思い直し、手を洗い教室に戻りました。
先生には特に叱られる訳でもなく、そんなに授業も進んでいる印象もなしにそのまま日常へと戻りました。
怪談話とかなら、私がなーんだと肩透かしを食らった辺りか、手を洗ってる時にでも鏡に映る、などがあったのかも知れないけれど。
本当に何事もなく、あの足音は何だったのか分からず終いですが、かなり怖かったので未だに覚えている出来事でした。
余談ですが、あまりにも怖すぎて高校になっても学校のトイレに1人で行けず、高1まで友達と所謂連れションをしていたのでした……
今回はSF(少し不思議)なお話になりましたが如何でしたか?
また何か仕入れたらお話しにきます。
それではまたいつか。