<読切シリーズ>私の婚活思い出話その10 精神的に自立できなかった男
※このシリーズは、全話読み切りなので、どの話から読んでもオッケーです。
ブログ書く主婦のANSYです。
しばらく私の婚活の思い出話を書きます。
10年以上前の話ではありますが、こんなこともありますよと、参考にしていただければ幸いです。
★
ずっとネット婚活してて、でもぜんぜん話がまとまらなくて、どうしようと、私は悩んだ。
「そうだ、私は年齢の許容範囲が狭いんだ!ちょっと年上でもいいじゃん」
と考え、アラフィフ近いかな?みたいな年齢の会社員にアプローチした。
すぐに快諾のお返事が届いた。
彼はマメだったし、文章の雰囲気も良かったので、私の期待値も高まった。
同じSNSを使っていたので、彼のプライベートを少し読めた。
すぐにお会いしましょう、という話になり、このスピード感いいね!なんて思ったけど、あれ?って首をかしげたのが、彼の書いたこの一文。
「××駅(郊外)でお会いしましょう。僕の家から近いんですよね」
って……。
この場合、お互いの中間地点か、やや女性寄りの駅にするんじゃないの???
なんで男性側の最寄り駅に即決すんの???
………。
いやいやいや、ここで批判するのはストップ!
××駅だって、いろいろ開発されててオシャレじゃん!私も以前飲み会で行ったことあるし!
と、この違和感を必死で払拭した。
そしてお会いする当日、雨が降った。
××駅に着いたとたん、汚水に片足突っ込んで、不快な思いをした。
……嫌な予感がするなあ……。
駅から少し歩いた、カフェ風居酒屋に、彼はいた。
もうね、すぐ帰りたくなった!
彼は写真をめっちゃ加工してた!実際の彼は、年相応に老け込んで見えた。
私は目線を下に落とした。なんのためにはるばる××駅まで来たんだか……。
さっき汚水に突っ込んだ片足が、ベタベタして気持ち悪い。最悪だ。
とりあえず、お食事でもしましょうという流れになり、ここですぐに断るのも失礼なので、私も席についた。
見れば見るほど、彼は……なんだろう、生理的に受け付けないというか、なんか薄気味悪い雰囲気があった。
メール交換では好感度が高かったけど、人間性というのは、会わないとまったく分からないものだと、しみじみ思った。
私とは対照的に、彼は満面の笑顔だった。
で、食事してみると、彼のマナーの悪さが目について、参った。
彼は口に食べ物を入れたまま喋るのだ。パカパカ開けた口の中が見えて、かみ砕いた食べ物のかすがさらに目についた。
汚い……。
会話の内容も「17歳のコたちと合コンしたんだ」とか、本当にバカな感じで、私はますますうつむいてしまった。
彼は「文芸同人誌作る予定なんだ。そうだね、500部刷ろうかと思ってる」
とか豪勢な話をしてたけど、初心者の同人誌なんて10部売れるかどうかだよ。
そのあたりリサーチしないのか。しかしいきなり500部刷るなんてねえ。
この人、金遣い荒そう。
結婚に関する話も、なんだろう、見通しの甘さが目について、私には到底受け入れられないものだった。
彼はずっとマンションの実家暮らしで、父を亡くし、今は母と……そして双子の姉と三人で暮らしているそうだ。
そこに同居してほしい。きみが望むなら、何年かは別居でもいい。でも基本的にはやっぱり同居をしてほしい、とのこと。
僕は勤務歴も長いし、貯金もあるからいいでしょ、みたいなこと言った。
母と姉は仲が良くて!と家庭内不和はないとアピールした。本当かな。
彼はずっと、口に食べ物入れたまま、くちゃくちゃ喋っていたので、私の不快感はマックスだよ。
でも……同居するって言っても、彼とその家族が住んでいるマンションの広さはどれくらいなんだろう?
郊外とはいえ東京だから、せいぜい3LDK程度と想像しよう。
そこに義母と義姉、夫と嫁が住むとしよう。住めるのか?その中で夫婦生活(性的な行為も含めて)ができるのか?私は絶対に嫌だ。
さらに子供が生まれた場合を考えよう。もうパンクしない?
というか、突っ込んで考えると、この家の嫁は義母と夫だけじゃなくて、義姉との同居も含まれるから、将来の老後とか介護ってどうするの?
嫁に全部背負わせそうな気がするけど。
彼は母と姉からの完全別居を、まったく考えていなさそうだった。
とにかく「母と姉は仲がいいんだ。この前も一緒にコンサート行ってた」と言ってきた。
彼にしてみれば、仲良し家族なのかもしれないが、他人から見れば、アラフィフ姉弟を、いつまでも結婚させず、別居すら考えさせない家庭環境って、普通ではない。
もしかしたら彼の母か姉になにか問題があるのかもしれない。
そう考えると、ますます不安が募る。
普通の女性なら「夫のきょうだい込みの同居は不安……」ってなるよ。
最終的に、同じSNSに入っているという話題になった。
「僕はね、コメントしてきた人に、サディスティックな対応しちゃうんだよね。あはは」
とか言ってきた。
私が「あなたのお返事コメント、ちょっとキツいですね」と返したら、
「そういうのはきみがちゃんと注意してよ!」
ですってよ。
ニュアンスとしては「きみがちゃんと注意しなかったから、僕が恥かいちゃったじゃないか!」みたいな感じ。
はあ。自分の発言は自己責任だろう。彼はネットと社会で、何を学んできたんだろうか。
ていうか会ったこともない他人の私に、いきなり自分のメンタル保証を求めるのもどうかしてる。
彼から漂う薄気味悪さは、やはり年齢相応の精神を持たないせいだと思った。
年齢はアラフィフなんだろうけど、喋ってると、どこか幼さすら感じた。
私は家に帰って、早急にお断りのメールを出した。
会うんじゃなかったと、超後悔した。とにかくあの食べ方の汚さが、思い出されてしまい、不愉快極まりない。
あれ以来、私はあまり年上の男性を選ばないことにした。
ストライクゾーンを広げれば、出会いの機会は増えるかもしれないが、ヤバイやつに当たる確率も上がるので、ある程度の年齢の男性を遮った。
★
それから数年後、彼が個人的に書いているブログを、偶然見つけた。
読んだ。
もうね、婚活あきらめたって感じ。
風俗嬢にオラついたことを、イキった感じで書いてた。
闇だな。