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「女の人生の成功者」について(前編)
ブログ書く主婦のANSYです。
編み物を再開しようかどうか、悩んでいます。
あんまりうまくないけど、単純作業に没頭したい。
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最近「女で人生に成功した人って身近にいるかなあ」って考えた。
いる。
平成令和の女子社会に超適応した、親戚のチカちゃんがそれ。
彼女の人生があまりにも順調で、時代にきれいに適応しているので、お会いするたびに驚く。
チカちゃんは三人姉妹に生まれた。美人な家系で、姉妹の中には読者モデルやった人もいた。当然彼女も美人。
学生時代、少しだけ私とチカちゃんは親しくなりかけた。
でも、私から遠のいてしまった。
だってあまりにも住む世界が違うんだもん。
私が公立中学のオタクグループで、呑気に過ごしていたころ、チカちゃんは私立女子校でイケてる感じだった。
彼女は私に、流行の音楽とか小説を教えてくれた。
教えられた音楽はとても女性的で、ませた感じがした。小説も「ガチジュブナイル少女小説!」というものが多く、私には不向きだった。
そのあたりですれ違った。
チカちゃんは、高校時代に良い感じの男子と交際した。そのまま名門短大に進学し、卒業後順調に就職し、数年働いた後、高校時代からの彼氏と結婚した。
進路で親と揉めるとか、婚活で苦労するとか、男女交際でトラブルとか、そういうのがない。
結婚後、ちゃんと二児の母となった。
夫となった男性は、なかなか裕福な生活を彼女に与えたらしい。
「自宅のキッチンを解放して、料理教室を開いたの!」という話を聞いたとき、私は(広い家に住んでるんだな!)と驚いた。
そして、私的な料理教室に、生徒さんを集められるくらいの人望を持っているのが、羨ましくなった。それ以前に料理教室を開催できるくらい、料理を習いに行ったのか。
料理教室そのものの月謝が高いので、それを捻出できるくらいの、家庭環境にいたチカちゃん……すごい!
子供たちは英語とスポーツ好き(決して問題行動を起こすとか、やべえオタクになるとか、ではない)に育った。
家族全員誰も問題行動を起こさない。私から見れば奇跡だ!
チカちゃんは子供たちが成長すると、また勤めに出た。派遣ではあるものの、事務職に適性があるので、職場からは重宝されているらしい。
都内でさっさと車を運転し、スマートに行動する彼女と……トロい人生にいちいちうつ状態になる私が……本当に親戚なんだろうか……と、不思議に思った。
法事でチカちゃんに会った。
そこで「あたし、ママ友グループで、リーダーみたいになっちゃってさ」とさりげなくつぶやかれた。「ママ友全員のLINEを把握してる」とサラっと言った。
要は「ママ友グループでトップ取ってますアピール(と、少しのマウント)」を私にしたんですよ。
私はそんなに不快には思わなかった。そうだろうな、と納得もした。
チカちゃんは、三人姉妹生まれ、女子校育ちで、女子社会を学習し尽しているわけですから、ママ友グループでリーダーになるなんて、簡単な話だろう。
「旦那がちょっと気弱なのね。私が死んだらボクも死ぬとか言っちゃうの!えー、子供たちどうするのよー、って言い返したもんね。あはは」
と、さりげなく「旦那にめっちゃ愛されていますアピール」もかましてきた。
順調に育つ子供たち、お金持ってたいそうな愛を注ぐ夫、ママ友グループを従え、さらに事務の仕事を持つチカちゃんは、スーパーガールだ。
私は「完敗です」と思い、あまり会わなくなった。まあ親戚なんて法事の席で顔見ればいいだけなんだけど。
「女の人生の成功者」と言われて、パっと思い浮かぶのが、チカちゃん。
どうやったらああいう順調な生き方ができるんだろう。あまりにもきちんと生き進められるので、人生を疑問視して悩むとか少なそう。偏見かもしれないけど、自分が望んだ生き方と、時代と周囲がピタっと一致するなんて、めちゃくちゃスゴイな。幸運だね。
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「幸せって、自分で納得してつかむものが本物でしょ」とは聞くよ。
でも、女の幸せって、かなり他者評価が入り込む。
子供のころから「外見は?(美人?)」「親の仕事は?(育ちのいい娘なのか?)」と本人ではどうにもならないことでジャッジされる。ほとんどの女はそうやって育つ。
大人になれば「パートナーは?ご主人は?(仕事は何をしているの?彼は社会的に評価されているの?)」配偶者の職業や社会的地位についての質問はまず避けられない。「お子さんは?(いるの?まともなの?)」と突っ込まれ、そこで完璧な返しができる女は、相当ラッキーだ。
女の幸福感は、自分では決定しづらい。たいてい「女の幸せは他者評価も込みで成り立つ」と洗脳されながら育つから、これを振り切るのは相当難しい。
そして「女の人生は他者評価に耐えられるくらいの(分かりやすい)幸せを持つのがステイタス」となりがちなので、そこで悩むとか、嫉妬にかられる女性も多いよね。
今の時代なんか、ネットでそういう情報が入り込むから、そうじゃない人生になった場合、キツい。
女ががんばって仕事や趣味をしたとしても、結局パートナーや旦那のスペックが女の立場の判断材料に関与するので、理不尽も甚だしい。それゆえに下方婚はなかなか認められない。
でもこれが女社会で、さらには生物の本能的部分にも引っかかるから、振り切れないんじゃないかと、私は推測する。
「そういうのは放っておけばいいじゃん!ひとりでいればいいよね!」
とか言われるよ。
しかし孤立した女は高確率でいじめに遭う。
職場だったら、ママ友グループだったら、いや、どこでもいじめは辛いよ。そんなストレス抱えられない。孤立に耐えられるのは、強靭なパワーを持つタイプだけだ。それも環境によっては、分からない。
こういう話を男にすると、だいたい「そういうのは間違ってるよ!自分の幸せは、自分で決めるんだよ!」と、優等生的な模範解答が返ってくる。あとは「ふーん、女の人って、くだらないことで悩むんだね」とかね。
男社会の仕組みと、女社会の仕組みと人間関係は、まったく違う。でもこれをごっちゃにしてアドバイスする男性は多い。プロの男性精神科医ですらこういったアドバイスを寄せる。あまり参考にならないし、言われたこっちはなんだか見下された気分になる。
女社会についての悩みとか相談は、男性には言わないほうはいいと思った。通じないんだもの。
※こう書くと「男の人生だって辛いんだ」とかコメントが来ることがある。私が今書いているのは「女の人生について」です。
女社会で成功者と見られるためは、どれだけ他者評価に耐えられるかという話になりそうだ。私はこれを否定したい。でもなんか、負ける。
困ったねえ。
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ところで、私の妹は、チカちゃんについて、あまり好意的な評価をしない。
「完璧過ぎてウザい人だよ。ああいう姉妹がいたら、私は息が詰まっちゃうな。うちはうちのお姉ちゃんくらいでちょうどいいよね」
と、私を褒めているんだか、けなしているんだか、分からないことを言い出した。
「へーそうなんだー」
と、私も適当にうなずいた。
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私は女社会のやり取りとか、それに疲れると、なぜか第二次世界大戦ドキュメンタリーを鑑賞するんですわ。
時代と政治に翻弄された軍人たちを、映像で見て「こういう、どうにもならない人生もある」というのを噛みしめる。ネットで調べたりね。
先日はロンメル(ドイツの軍人)のWikipedia読んだ。すっごい長いので、普通に彼の伝記を本で読んだ方が早い。
私は旧共産圏の歴史だのロシア史が好きですね。ミリタリーネタは心落ち着くなあ……って気持ちになるよ。
チカちゃんは絶対にそんなもんに興味を持たない。もちろんロンメルなんか調べない。
毎日毎日、女としての人生を全うし、常に「安心できる女性のロールモデルの座をキープ」する。
私としては、自分がなんでそっち側に生まれつかなかったのか、たいへん疑問に思ってる。
チカちゃんみたいになりたかったなあと、考えつつ、NHKで放送される「帰還兵のトラウマ」とか録画する。
NHK最近戦争ネタ多くないですか。私みたいなメンタルの視聴者が増えてるのかもね。