ドラクエ5とかいう鬱ゲーをクリアした
先日、6をクリアしたので予定通り5をプレイした。
例によって5もストーリーとかは知っていたけれどあらためてプレイしてみようと思ったのだ。
以下思うところを書く。
人生
このゲームは主人公の幼少期から描かれて結婚して父になって、という主人公の人生を追体験するのが特徴でそこが人気だったりする。
それはいいんだけど、それにしてもあまりにも悲惨な人生すぎてつらい。
子供の頃に母親はさらわれて父は目の前で死ぬ。その後奴隷として過ごしてなんやかんやあって結婚するけど嫁は連れ去られる。しかも今度は二人して石化する。子供の成長を見届けぬまま。成長した子供に助けられて母を救いに行くけど今度は再会(といってもほぼ初対面)した母もすぐに殺される。なんという鬱ストーリーだろうか。
結婚イベント
このゲームの大きな特徴として結婚イベントがある。そして誰と結婚するかという論争がある。
冷静に考えて幼なじみと結婚するなんて気持ち悪いのでフローラ一択だ、と僕なんかは思う。そしてフローラと結婚したらビアンカは山奥の村で寂しく暮らしているのを我々は知っているので結局ビアンカと結婚せざるをえない、と思うかもしれない。でもちょっと待ってほしい。ビアンカが寂しく暮らしているなんていうのは我々が勝手に想像しているだけで、一人で気ままに暮らしているのかもしれないし、長大なロシア文学とか読んで充実した暮らしをしているのかもしれない。そんなことはわからない。
ていうか話の流れとしては、天空の盾を手に入れるためにはフローラと結婚しなければならないわけで、そのために体張って2つのリングを取りに行ったのにフローラと結婚しないなんてなんのために火山に行ったんだ、てなる。そしてフローラとビアンカどちらと結婚する? という話になるけれど、結婚したいんじゃなくて天空の盾がほしいのであって論点がすり替わっている! と思わざるをえない。
そして結婚して家族を危険に晒すより一人でモンスターと一緒に旅したほうがいいんじゃないかと思ってしまう。主人公は子供の頃に自分が人質になったせいで父親が死んでしまったわけだから、そういうリスクが増えることは避けたいと思うだろうし、家族という概念をもつことにトラウマや恐怖心を抱いていてもおかしくない。だから結婚しないという選択肢が一番正しい気がする。俺なんかが家族を持ったら傷つけてしまうひとを増やしてしまうだけだって僕だったら思ってしまうだろう。
もしくは、結婚するなら母親探しは諦めて二人でのんびり暮せばいい。もう冒険なんてやめてしまうべきだった。と感じる。
そういう主人公の感情を考えると疑問の残るシナリオだった。しかも天空の盾はべつにクリアに必須のアイテムじゃないので、メタ的な視点では取らなくてもいい。結婚して子供ができてっていうストーリーなのはわかるけど、それはストーリー上の都合であって、ゲーム的には新キャラに子供のデータをつけているだけなのでメタ的な意味では結婚しなくても子供はできる(勇者は存在できる)。
このイベントでは天空の盾と結婚相手が重要に思われるけれど、ゲーム的な意味では重要なのは船である。結婚したらルドマンから船を使っていいよっていわれてポートセルミの港の人を動かすフラグになっている。また、もうひとつ(ふたつ)大事なのは2つのリングで、これは魔界に行くために必要である。船と2つのリングが実はゲーム的には大事だけれどそれを巧妙に隠すために結婚イベントと天空の盾というアイテムを用いてストーリーに落としてこんでいて見事だと思った。ただやっぱり結婚しないという選択肢もあっても良かった気もする。自分の子供ではない勇者が後に仲間になる展開でも斬新で面白いと思う。
説得力
ストーリーの都合上、パパスは天空の剣を装備できる伝説の勇者を探して旅をしているけれど、システム的にはべつに勇者はいなくてもクリアできてしまう。なんだか違和感がある。
天空装備にしても集めなくてもいい。6みたいに伝説の武具をすべて持っていないと次に進めない展開じゃないから勇者の存在意義は? となる。主人公じゃなくてその子供が勇者で、だから結婚相手が「天空の花嫁」というタイトルの伏線回収なのはわかるけど、その驚きだけでしかない。物語の都合であって、それがまずあってその上でストーリーを作っていった(のかどうかは知らないけれど)ようにしか感じない。
だからストーリーに説得力がない。
結婚する必然性はないし、結婚するなら母のことは忘れて平穏に暮らしたほうがいい気がする。父の遺志がとかゲマ許せないとかいろいろあるけど散々な人生をそれまで送ってきたのだからもうのんびり暮らしたらいいじゃんと思ってしまう。そのうえで襲われてゲマを倒しに行くとかならわかるけど、初めから冒険ありきで行動している。
僕がそう思ってしまったのは結婚イベントだけじゃなくて、後半のストーリーに関してもで、敵の脅威をあまり感じられない点が少し残念だった。
正直、ミルドラースがなにをしたんだという感じで、これから世界征服に乗り出そうという段階で主人公たち(もちろん勇者/天空の装備がなくても)にやられてしまう。少し気の毒な魔王だった。主人公の母をさらったのはわかる。マーサの力を使って魔界と人間界の扉を開けさせたいのもわかる。でもマーサをさらってから2、30年も経っているのに一向に攻めてこない。イブールを使って着々と準備をすすめていたかもしれない。でもそれだけだった。サンタローズを滅ぼしたニセたいこうのほうがよっぽど悪だった。
魔王を倒す必然性みたいなものが感じられなかった。説得力不足だった。僕はそう感じた。
親子3代の絆の話だとか結婚相手を選ぶ一大イベントとか、それが全面に出すぎていて、大魔王を倒す感が感じられないゲームだった。
エンディングで各地の人々が平和になってよかったとかこんな日が来るなんて、みたいなことを言っているけれど、プサンが20年間トロッコで遊び続けるぐらい平和だったぞと思ってしまう。そりゃあ、町の外にモンスターが徘徊しなくなったという意味では平和が訪れたのかもしれないが、プレイヤー視点ではそれがとてつもない驚異になっているようには思われない。だから平和になったて言われても、「???」となってしまう。
6との比較
5の前に6をしたからどうしても比較してしまう。いい点も悪い点も。
・ラスボス
ストーリーに関しては5が驚異を感じなかったのに対して、6はかなりデスタムーアの支配が及んでいるなと思った。そして自分の存在は巧妙に隠してムドーに現実世界を支配させようとしていた。5も終盤までラスボスの存在がはっきりしないけれど、5の場合はそれはミルドラースが特に何もしていないからであって、6はしもべたちにまかせて自分は狭間の世界に潜んでいたという違いがある。夢の世界を作ってダーマ神殿などを攻め落としたデスタムーア。その後夢の世界に登場したダーマ神殿などを4人の手下に封印させてしかも世界のほとんどの人は夢の世界のことを知らないわけで歴代ドラクエでもかなり世界を支配していたラスボスだとかいう意見も納得できる。
それはミルドラースの驚異があまり感じられなかったことの反省で6ではそうなったのかもしれない。
・カジノ
カジノに関しては、6があまりにもクソゲーだったから5は稼ぎやすいと感じた。裏を返せば、5が稼ぎやすすぎたために6では稼ぎにくくしたとも取れる。スロットが当たりやすいとかそういう違いももちろんあるが、たった5万枚でメタルキングのけんが手に入ってしまうコスパの良さが大きい。
・会心の一撃
5はかなりの頻度で会心の一撃が出る。20回に1回ぐらい出る。
対して6は500回に1回ぐらいしか出なかった。職業の問題もあったかもしれないが。それにしても全然出なかった。
5が出すぎたから6では出にくくしたのか。コレガワカラナイ
・その他
もちろんグラフィックは圧倒的に6のほうがきれい。数年でここまで進化するのかと驚かされる。
BGMも6のほうが好き。6のBGMは全ゲームの中でもかなり好き。
モンスター
いろいろ書いたけどこのゲームの最大の魅力はモンスターを仲間にできる点にある。
どんなモンスターでパーティを組むかで難易度は変わってくる。有名どころを使うもよしマイナーモンスターを使うもよし。完全にモンスターを使わないで人間だけプレイも良い。そういう遊びの幅があるのがとても良い。
難易度
死の火山が難しかった。あそこだけ難易度が異常だった。それ以外は特に苦戦は強いられなかったように思う。ミルドラースも弱かった。それはレベルの上げ過ぎなのか、慎重に戦うからか。
少し残念なのはあまりにも物理が強すぎる点である。もちろん魔法も強いけど、MPはスクルトやフバーハやバイキルトなどの補助あるいは回復のために使ったほうが効率がいい。イラストやフィールドグラフィックでは主人公は杖を持っているから魔法使いキャラなのかと思いきや勇者である息子より物理攻撃が強い(もちろんレベルの問題もある)。主人公は杖のたぐいとブーメランしか装備できないとかでも良かった気がする。それでもドラゴンの杖はかなりの攻撃力を誇るけど。
総合的に、そんなに難しいとは感じなかった。6のときにも書いた気がするけど、それは僕が大人になって戦略的にものを考えることができるようになったからなのかもしれない。あるいはPS2版やDS版をプレイすれば印象は変わるのかもしれない。
まとめ
初めてきちんとプレイしてストーリーを知れてよかった。人々が絶賛するほどとは個人的には思わなかったけど。ていうかやはり説得力不足と思ってしまう。でも楽しかった。また今度エスタークを倒します。そしてビアンカと結婚した人生を送って今度はモンスターばかりのパーティで冒険したい。
次は11をする予定だけれど、その前に僕はあのスクエアの名作(どれだよ)をしたいので11は11月ぐらいにすればいいかな。
その他ギャラリーとか
↑J●SRACからなんか言われない? 大丈夫?
↑奴隷として働く主人公。現代社会の闇と戦う鬱ゲー。
↑結婚前にリリアンに相談する主人公
↓エンディングではわんわん言うようになった。
↑あのね、小さい頃からフローラのことが好きだったからって結婚できると思うな。世の中そんなに甘くないんだよ。と思ってしまう。小さい頃から好きだったからって結婚できるわけない。そんなに優しい世界は存在しない。そうやってみんな苦しむしそうやって成長するのだ。
↑好きな人の名を呼んで夜中に苦しむ。リアルだ。まるで自分のことのようでまいるなぁ。だからこそアンディとフローラに結婚してほしいなんて思わない。そんなに優しくない。俺も同じように苦しいんだ。ゲームの中でもその気持をプレイヤーにぶつけてくる。つらい。鬱ゲーすぎる。アンディはきっと僕なんだ。
↑エンディングでフローラはルドマン夫妻の実の子供じゃないことが明らかになるけれど、ビアンカも実は拾ってきた子供だと作中で明かされる。ビアンカと結婚したら逆のタイミングで明らかになるのでしょうか? ともかく、それを踏まえて上の画像のシーンがある。ということは、二人は姉妹の可能性がある。かなりある。作中でははっきりと二人が姉妹であるとは言っていないが、どちらと結婚しても勇者が生まれる辻褄を合わせるためにそういう裏設定が推察される(もちろん血筋に勇者がいるだけの遠い親戚かもしれないけれど)。そしてもし二人が姉妹なら、片方は金持ちのルドマンに拾われて、もう片方は宿屋の主人に拾われることになって運命の悪戯を感じる。どうしようもない、逃れられない人生の苦しみを見る。あのときああだったらとか自分がこっちじゃなくてあっちだったらとかそんなどうしようもないことを人は考えてしまう。
↑水のリングを取りに行く道中である。ビアンカを仲間にして行くわけだけれど、パーティに入れなかった。女連れとはいったい……。まさかホイミンかな? 僕もホイミンと結婚したかったな。
↑エンディングにて名言を残したひと。人の金で飲む酒はうまい。真理である。
終